あるペットショップの事例として、「股関節脱臼症を発症した6ヶ月齢のラブラドール・レトリーバーの子犬をどうしたらよいか悩んでいるオーナーにアドバイスして下さい」という課題を与えました。

 

大型犬にかかる生涯費用を計算すると、寿命13年として233万円かかることになります。さらに治療費の負担もあるので、お店としては、やむを得ず「安楽死を選択する」という結論に至ることで、たとえ犬であっても「経済動物」として考えなければならない局面があるのだということに気づいてもらおうと考えていました。

 

しかし、予想はみごとに裏切られ、安楽死は、言下に却下されてしまったのです。

 

「里親会に連絡して、引き取ってもらう」という、いささか虫の良すぎる解決策を掲げたチームもありましたが、「ハンディのある犬でも大切にしていることは、お店の姿勢をアピールすることになる。看板犬として活用しよう。」という、災い転じて福となす発想を出してきたチームがありました。

 

そのような判断は経済行為としては非現実的かもしれませんが、みせかけではない動物に対する真摯な姿勢がわかってもらえれば、応援してくれる人も決して少なくないのではと感じました。