「黒いペキニーズって珍しいですね~!」と言われます。
実は、友人がペットショップで売れ残っていたのを4ヶ月齢で情動買いした子です。
その友人とこの子との最初の出会いは、たまたまドッグフードを買いに立ち寄った時のことでした。
フードを買い終えて、子犬たちが展示されているコーナーに行くと、若いカップルが小さな黒い子犬を抱かせてもらっていました。黒いかたまりには、おでこと胸、そして、4つの足先にくっきりと白い模様がついていて、とても愛らしかったのです。
どうも興味津々といった風情に見えたようで、カップルの女性がいきなり、「どうぞ」と言って、その黒い子犬を差し出したのです。それまで、ペットショップで子犬を抱かせてもらったことなどなかったのですが、なりゆきで子犬を抱くことになりました。「綿のように軽い」というのが、その時の印象だったそうです。
そのことがあってから、ペットショップに立ち寄るたびにショーウィンドウをのぞくようになりました。そのショップの近くの回転寿司によく行っていたので、その帰りにのぞきに行って、その子犬を見つけると「まだ売れていないね」と家族で話すようになっていたのです。
売れ頃の2~3ヶ月齢を過ぎて売れ残った子犬は、ショーウィンドウから出されて、床に置かれたサークルで大部屋暮らしをするようになります。お客様とふれあってもらって、売れるチャンスを少しでも増やそうということなのでしょう。
でも、休みの日ともなれば、来店した人たちにひっきりなしに触られて、「眠たいからもうかまわないで~。」と訴えているような姿にちょっとかわいそうな気がしました。人のことをとやかくは言えないのですが、サークルに降りてからは、抱っこさせてもらうのが楽しみになっていたので、すでに保護者意識が生まれていたのでしょう。ひそかに「ペキニーズのペキンちゃん」と名前までつけていました。
お店のスタッフや他の犬たちとふれあう機会が多かったせいか、社会化ができていて、人にも犬にもフレンドリーです。ペットショップでも、1頭ずつショーケースに入れる展示方法ではなく、ワクチン接種を済ませた複数頭をいっしょに遊ばせながら展示する方法をとれば、子犬の社会化を身につけさせることができるのです。
縁があって、その売れ残りの黒ペキは友人の元から離れて、我が家の一員になりました。「ペキン」という名前は改名されて、「リン」と呼ばれることになりました。