皆さん読んでみて下さい、意味ない裁判員制度に同感の方、シェアして下さい、まだまだ諦めるわけにはいかないから。

2019年12月2日

【記者会見での高橋正人弁護士の発言要旨】

きょう判決が出ましたので、判決内容について簡単に説明します。

判決には、1点だけ評価できるところはあります。あとは評価できません。

評価できたのは括弧書きですが、「原判決が計画性の有無・程度をもって本件犯行に対する非難の程度を判断する指標であるかのように説示する部分は、以上に照らして是認することができない」。

今までは計画性の有無を金科玉条のごとき強調し、死刑かどうかの一つの指標として重要視していましたが、少なくとも無差別殺人ではそれを指標にするのは適切ではないと述べたところは評価できます。

今後の下級審の裁判例に影響があると思います。

 

しかし、納得できない点がたくさんあります。

まず1点が、覚醒剤の中毒症状で幻聴に陥った、これも一因となっていて、量刑上考慮すべき要素であるというところです。

覚醒剤を使用すること自体が悪いのに、悪いことをして、さらに悪いことをすれば刑が軽くなるのは本当に理不尽です。

悪いことをしている人間が、さらに悪いことをしたら、本当は重くならないとおかしいのに、それを軽くしてどうするのでしょう。

これが一般の感覚から著しくかけ離れているところであります。

 

2点目ですが、無差別殺人について、凶器を購入した段階で計画や準備したとは必ずしも認められないという点。

これも非常に納得できない。計画性は事案事案によって異なるはずです。

なぜ計画性があると刑が重くなるかと言ったら、犯行を遂行する危険性が高まるからです。

つまり、より確実に犯行を遂げやすくなるからです。

例えば、自分が恨みを持っている特定の人間を殺そうと思ったら、その人がどういう活動をして、どういう生活態様であるか、事前に把握して、下見をしなくちゃいけない。

狙われている方も、狙われていると分かっていれば、いつも防御していますから、よほど計画をしっかりと立てないと犯行は遂げられない。

ところが、無差別殺人は違います。何の防御もしていないところに、突然後ろから刺すのですから、刃物を買っただけで準備としては十分で、あとは手当たり次第に通行人を刺して回れば犯行を遂げることができます。

つまり、刃物を購入した時点で、犯行を遂行する危険性が高まったと言えるのです。これを判決は全く見過ごしている。これが2点目の問題点です。

 

3点目です。警察官の指示に従って抵抗せずに逮捕にいたったから反省しているという点。

そのままやり続ければ、警察官から自分が射殺されるかもしれないわけですから、自分の命ほしさに単に抵抗をやめたという側面も、全く否定することはできないのではないでしょうか。

そもそも、反省すれば被害者の命がかえってくるのでしたら、いくらでも反省してくれと言いたい。

しかし、どんなに反省したって、被害者の命はかえってこないのです。だから、死んで償ってくれと遺族はみんな言っているわけです。そこが判決では理解されていない。

 

さらに4点目です。死刑の適用を慎重に行わなければならないという観点及び公平性の確保の観点。

もし、2人殺したのではだめでも、3人殺せば死刑になると言っているのであれば、加害者の命は地球3個分、被害者の命は地球1個分と言っているのと変わりない。これで本当に公平なのでしょうか。不公平そのものじゃないでしょうか。

ただ、判決で言っている公平性は、おそらく、過去の被告人と今の被告人との公平性を言っているのでしょう。

裁判員裁判が始まったのは最近ですから、死刑に相当する事件はそれほど多くありません。死刑に関しては、まだ、職業裁判官がつくった基準しかないのが実情です。

しかし、その基準の範囲内でやりなさいというのなら、裁判員裁判をやる意味はありません。裁判員裁判をやって、一般市民の量刑の感覚を取り入れていこうというのがこの制度の趣旨です。

一般市民の常識と職業裁判官の常識がかけ離れている場合もあるから、市民を裁判に参加させて、死刑に関しても、市民感覚に合う基準を作っていこうというのが

裁判員制度の本来の趣旨の一つです。確かに、今は制度導入の過渡期ですから、裁判体によって、ある程度、死刑か否かにブレが生じてしまうかもしれません。しかし、

これが5年、10年と裁判員裁判の判決例が集積していけば、一般市民の感覚が集積されて、死刑に関しても、市民感覚に見合った一つの基準ができあがります。

その基準に従えば、公平性が保たれるわけです。

今回の最高裁の判決は、死刑は慎重にならなければならないと述べますが、死刑に相当する事件だからこそ、

きちんと市民感覚を反映させた公平性を保ってほしいと思います。

#意味のない裁判員制度