朝4時前に目が覚める。深夜でも国道55号線は交通量があるようだ。6時まで布団から出たり入ったりして、散歩に出かける。海には朝焼け。

 浜辺を歩いていると、だんだん明るくなって行く。

 すでに、沖の釣り用筏には釣り客が来ていた。

 宿の女将さんが8時になったらコーヒーと何か出してくれるそうなので、食堂に行ってみる。食事付きで宿泊している(おそらくご夫婦だろう)が、まだいる。こういう時、一人だと気後れしてしまう。

 出されたのはコーヒーとフルーツの盛り合わせとブリュレ。ブリュレは女将さんの手造りとのことで、とても美味しかった。

 部屋に戻り、出発準備。口内炎ができていたので、触っていると潰れて、驚くほど血が出た。おおかた収まり、女将さんに礼を言って出発しようとすると、遍照尊という御詠歌の3番を歌ってくださった。

 宿の横に駐車している車が、京都ナンバーだったので、京都の方か聞いてみたら、京都に長く住んでいたが、戻ってきたとのこと。宿の中の装飾や、細やかな心使いに雅さを感じる宿だった。

 昨日行った漁村を通り過ぎたら、自転車が次から次にやってきた。後で調べたら「四国の右下」ロードライド2023というイベントの参加者のようだった。

 阿南海南駅が近づくと、コンビニや各種店舗が見えてきた。どうもここが、海陽町の中心らしい。クーポンが使えるドラッグストア コスモスがあったので入ったが、めぼしいものがなかった。次にセイムスに行ってみると、今後必要になるであろう、ニット帽と手袋があった。また、スマホのバッテリーが位置検索をすると消費がはげしいため、充電器。それにウイスキーも買った。残りは800円ほど。

 軽い山越えをすると那佐湾。ここには、異国船警備のための狼煙台跡があったとのこと。また、長宗我部元親の末弟、島弥九郎が敵に襲われ自害した場所でもあるそうである。

 漁船も停泊している。

 細長い入り江は、波が穏やかで平和そのものである。

 宍喰の海岸には、サーファー達。フリーWIFIもDポイントも使えないため、すっかりご無沙汰になっていたセブンイレブンでおにぎりや飲み物を買ってクーポンを使い切った。四国上陸以来、九州一周自転車旅と同様、昼は食べずに走り回っていたので、久々の昼食である。サーファーを見ながらおにぎりをいただいた。

 11時、高知県入り。発心の阿波から修行の土佐になったのだが、発心がハード過ぎてこの先不安である。

 津波避難用の4階建ての建物。高知県では南海トラフ地震を身近に感じているようだ。このような建物は高知県を旅するうちに見慣れてしまった。

 東洋町からは、海沿いの道である。

 遍路小屋らしきものがあったので休憩。汚れた看板には、ふれあい海道と書かれている。

 大型スクーターで走ってきた人に話しかけられる。63歳でもと県庁職員らしい。ツーリング仲間に誘われたが遅刻したため一人で走ってきたとか。話しているうちに自慢話を聞かされている気がした。それに遅刻したと言っていたわりには話が長くなりそうなので、先に進ませてもらった。

 海岸の岩で翼を休めるトンビ。

 夫婦岩。日差しがきついので、岩の影で休憩させてもらおうとすると、カップルが来たため退散。

 14時むろと廃港水族館到着。入館料600円。

 室内に展示されている魚はボラやウツボなど。それ以上に廃校をリノベーションしただけあって小学校の教室がそのまま残されている。

 かわいいウミガメ。

 理科室。ホルマリン漬けの標本が実験台に並べられている。

 図書館。跳び箱の再利用がいかしている。他に跳び箱の中を水槽にしている展示もあった。書架の上には懐かしい教材。この他に動物の剥製等も展示している場所等があった。

 学習の規律と座る姿勢。小学校に通うのが苦痛だったことを思い出した。

 屋外のプールにはシュモクザメ。

 ウミガメのプールもある。

 水族館であると同時に、ノスタルジーを感じさせる学校の資料館でもあり、多角的な学びの場であると思えた。廃校を利用した施設は各地にあるが、むろと廃港水族館は間違いなく成功事例の一つであろう。

 次に訪れたのが室戸世界ジオパークセンター。入館料は無料。室戸市全域をエリアとする室戸世界ジオパークの拠点施設として2015年にオープンした。

 室戸の大地の成り立ちや室戸に生きる人々の営み等が紹介されており、ブラタモリ的な展示内容であった。空海に関するコーナーもあった。

 この日はお休みのようだったが、ジオパークセンターの斜め前に海洋深層水研究所なる施設があった。海洋深層水の有効利用の推進に関する研究をしているらしい。ここで、西洋人カップル歩き遍路の方がいた。

 さらに進むと、ディープシーワールドなる施設があり、深海魚でも展示しているかと思いきや海洋深層水を使ったプールと入浴施設だと受付の方に教えられた。

 青年大師像が見えてきた。

 ホテル明星の先に乱礁遊歩道があったので降りてみた。これがジオパークか。

 黄色い花が咲いているアゼトウナ。波がかかる岩礁でも生きられるタフな植物だ。

 空海が行水したと言われる「行水の池」。正面の岩の窪みは波による浸食で、隆起した証拠とされている。

 「龍巻に添ふて虹立つ室戸岬」 高浜虚子の句碑がひっそりとある。

 ビシャゴ岩。マグマが地層に入り込んでできたそうだ

 御厨人窟と神明窟

 御厨人窟は、弘法大師が居住しており、ここから見えるのは、空と海だったので法名を空海とした。

 神明窟は、弘法大師の修行の場。明星が口に飛び込み悟りを開いた場所だそうだ。

 本日の宿泊先は、ほぼ室戸岬の先端にある民宿 室戸荘。16時、宿の前に着くと女将さんが迎え入れてくれた。自転車も玄関に置かせてもらえた。部屋に荷物を置いて最御崎寺へ、歩いて20分ほどで着くそうなので山道を登る。登り口の慰霊碑の横でテントを張っている人がいた。大丈夫か?

 登り口からすぐに、一夜建立の岩屋(観音窟)。最御崎寺の奥の院である。

 登っていると老夫婦のお遍路さんが降りてきた。山道はだんだん暗くなっている。

 捻岩。空海のお母さんが、雨宿りをする場所をつくるために、空海が岩をねじって洞窟を作ったとされる場所。

第24番札所 室戸山 明星院 最御崎寺

  16時半到着。読経している集団やその他何人かお参拝者がいた。みんな車で来ているようだ。

 お寺の側には宿坊もある。

  ご本尊は、虚空蔵菩薩。真言は、のうぼう あきゃしゃ きゃらばや おん ありきゃ まりぼり そわか 頭脳明瞭・学業成就・記憶力向上・技巧向上の利益があるといわれている。

   納経所の方に車道を下るとどこに出るか聞いて見た。室戸荘の近くにいけるとのこと。暗い遍路道を帰らずにすんだ。

 ちょうど太平洋に日が沈むところだった。「しぼったばかりの夕日の赤が」と誰もいないのをいいことに吉田拓郎の「落陽」を歌いながら歩いた。

 宿に戻って、風呂にはいって、19時夕食。ここの宿は、食事付きのプランしかなかったのだが、まさかの大ごちそう、鰹のたたき、刺身の盛り合わせ、くじら等5皿が並べられており、さらに金目鯛の煮付け、牛肉が追加された。

 しかし一人旅のわびしさで、談笑している他のお客さんより遅く来たのに、食堂を出たのは一番先だった。部屋に戻る途中でよった洗濯場で話した人は、分割して歩き遍路をしており、今日は東洋町から来たそうだ。人生色々、遍路も色々である。

 

宿泊費:7,300円(2025年8500円)

飲食及び衣料費等:5,000円(クーポン)

納経料:300円(2024年4月から500円に改訂されたため、今は500円)

水族館入館料:600円(2025年変わらず)

 

総移動距離:62.1km