21週 再び詳しいエコー
羊水検査の結果を踏まえて、A病院で再び詳しく赤ちゃんを見ることになった。
今回のエコーのドクターはベテランのおばあさん。
私たちのピーナツは、今日は寝ていたのか、あまり活発ではなく、うつ伏せ状態で、血管などがなかなか見えない。
おばあちゃんドクターは夫に「大きな声で話しかけて!」(男性の声の方が響いて赤ちゃんに届きやすいとか)と言ったり。私の足の裏を指圧で刺激したりして。。。ようやくピーナツも少し動いてくれて、なんとかエコーをしてもらう。
エコーの診断結果:21w4d
- 子宮内胎児発達遅延(IUGR):(頭、腹、足などが)成長曲線の5パーセンタイル以下
- 心室中隔欠損(VSD):心室に小さな穴がある。
- 推定体重:284g 5パーセンタイル以下 (20w2d相当の成長)
でも、心臓と小さい以外は、赤ちゃんに異常はないですよ、との診断。
今後のエコーは、A病院ではなく、小児心臓エコー専門のキャビネ(診療所)で経過観察していくことになった。なので、これがA病院での最後の検診。出生前診断を担当したV先生とは、結局会わずに終わった。
ちなみに、今日のエコーは、羊水検査結果の面談で同席したカウンセラーも、立ち会ってくれた。彼女は、どちらの意見も言わず、とにかく聞き役に徹しているようだった。正直、私にはあまり役に立つ存在ではなかったが、遺伝子カウンセラーというのは、難しい役回りだなと思った。
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21週 子供病院 遺伝子科での面談
きっと子供の遺伝子の権威だろうから、何か別の見解が聞けるかと思って臨んだ面談出会ったが、結果はA病院のドクターとほぼ同じスタンス。むしろ、さらに厳しい対応だった。
遺伝子科のドクターBと、遺伝子カウンセラーのRさん。
ドクターは、
染色体は人間の基本となるものだから、少しでも異常があれば、それがどこかに出るはずで、どこに出るかは生まれて見るまではわからず、脳に行く可能性だって非常に大きい。
1人だけ16番の子を知っているけれど、その子は胎児エコーでは問題は見られなかったが、結局脳に異常がありますよ。子供のうちはまだ良くても、成人してからもっと大変ですよ。子供は自立できず、親がその子の面倒を一生見られるか、親がなくなった後、誰がその子の面倒をみるか、そういったことも考えると、現実は非常に厳しい、と。。。
夫が必死で調べて作成した、アメリカの友の会の子供たちの症状をまとめた一覧表やいろんな文献資料も、まるで素人の戯言のような扱い。それは一部の運が良かった子供たちにしか過ぎない、とあまり取り合ってくれない。
ドクターBは、さらに加えて言う。
染色体異常の他に、赤ちゃんが初期から非常に成長が遅れいていて、その上に、早産の可能性となると、その辺も脳の発育に影響があるかもしれない。
もちろんドクターは、妊娠継続を諦めろとは、一切言わない。
でも、とにかく、同情やポジティブな意見に耳を傾ける余地は全くなく、むしろ産むと決める方が正気の沙汰でないような雰囲気に、私たちは驚き、落胆し、正直、恐怖さえ感じた。
遺伝子カウンセリングというのは、もう少し中立的で、産む産まないと悩む患者の心に沿ったものではないのだろうか?
確かに、友の会のメンバー以外で、大変な状況の子供たちもいるのかもしれない。
それに、私たちの子供だってどうなるのかの保証はない。
ましてや、遺伝子の専門家は何千件も症例を見ているプロなのだ。そのプロが言うなら、やはり楽観はできないのだと、前向きだった心が大きく動揺した。
ああ。
産むにしても、産まないにしても、どちらも道のりは困難だろう。
それはきっと、羊水検査で問題が発覚したすべての親が思うことだと思う。
そして最終的にどうするか決断を下さなくてはいけないのは、もちろん他の誰でもなく、私たち自身。そして、一度決めたら迷わずその方向に突き進むしかない。
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この時、妊娠21週。
妊娠継続を諦めるリミットは、日本では22週。
アメリカでも22〜24週らしい。それが、この国では特にリミットはないらしい。
なので、時間はあります、もう少し考えてくださいと、面談を終えた。
親にとって、まだ考える時間をもらえたのはありがたい。
でもよく考えると、妊娠後期ってもう人じゃない。。?これを聞いた時のショックは大きかった。
出生前診断は、賛否両論あるだろう。
産む前に知っていた方がいいのか、知らない方がいいのか。産むか産まないかの命の選択を、親が決めるということが正しいことなのか、とにかく、私にはわからない。
これはあくまで、私の個人的なつぶやきだけど。。
この国では私が調べた限り、35歳以上は血清マーカーテストも保険適応で普通に行われ、問題が見つかった場合の羊水検査も、保険が適応されるようだった。
妊娠中のエコーはかなり綿密で、もし問題が見つかった場合は、それが妊娠後期でも妊娠を終わらせる。。つまり中絶できるというのはショックだった。
この国は、障がいのある人に厳しいのかな。。。
そんな、別の意味での不安も感じることになった。