リリー・フランキー主演の日英合作映画


『コットンテール』

妻に先立たれた兼三郎
まだ開店前の寿司屋を訪ね、ビールを飲みながら、妻・明子との出会いを思い出にふける。

雑然とした部屋は何か訳アリな空気が漂う。
一人息子トシはそんな父をいぶかしがりつつも、父の心情を労る姿があり、すれ違う親子の感情に緊張感が見える。


妻を見送った日、住職から手紙を渡される。

明子は子供の頃に訪ねたイギリス湖水地方のウィンダミア湖の美しさに魅了され、最期の願いを手紙に託すのだった。


人との不器用な関係性しか築けないけど、とてもロマンチックな兼三郎をリリーさんは、ドキュメンタリーか?と思わせるような演技で魅せる。

そんな父に振り回されてばかりで鬱陶しく思いつつ、父親への愛を消せないとても複雑な役を演じた錦戸亮くんは素晴らしかった。
元々演技が上手かったし、若さだけじゃない人間味が新たな武器となって戻ってきた。

妻の木村多江さんの白熱の演技は言葉もない。

亮くんの妻・高梨臨さんの関係を見守る立ち位置がすごく良かった。


丁寧に描かれた人間描写は、日本人の心情すぺてを理解したような英国スタッフの手によるもの。

湖水地方の美しさと人の優しさが心に残った。


018/2024