天使の中には人間のように死ぬ者もいる。





病気にもなるし、生まれて間もない赤ちゃんも、不慮の事故で亡くなる場合がある。





誰かが亡くなると私達も死を悼み、お葬式をする。簡素な台に遺体を安置して、清楚な花を飾る。台を中心に円状に参列者は立つ。




神様が式を執り行う。




たった5分程度の式になる。
みな静かに式に立ち会っても、泣いたりはしない。故人の家族は泣くこともあるけど、親しい友人が慰める。




そしてこの後は人間のお葬式と全く違う。




亡骸は、そのままにされる。



なぜなら、いつの間にか消えて無くなるから
、埋葬する必要がないのだ。
不思議だなと思う。






私達は故人の存在が身近にないだけで、エッセンス(魂、命)は存在しているのを知っているし、新たな人生を選択するためには死を経験しなければならないと知っている。




外見は変わってもエッセンスは変わらない。だから新しく出会った天使に親しみを覚えて、よくよく話を聞けば、なんだ○○の生まれ変わりか!ってなる。



そして互いに再会を喜び合う。



この喜びは、格別だ。






本人は生まれ変わりって知ってるけど、私達はパッと見じゃ分からない。それが転生の目的なんだから、仕方ないけどね。本人から○○だよと申告されなければ、ずっと分からない。申告は自由だから、親しかった間ならば教えてくれる。






転職が一度だけのために、違う仕事をしたくて死ぬ天使もいた。自殺ではないけどね。そう決めた時は、直属の神様にどうしても仕事が合わないから、死んで違う仕事をしたいと理由を話す。





神様が納得してその許可を出すと、周りの人に挨拶に行ったり、友達とパーティーをしたりする。例えるなら、送別会だから悲壮感はない。





身の回りの品を譲ったりもする。





そして○月○日に去りますと告知する天使がいれば、決めない天使もいた。日時を決めてあると親しい友人は集まって、ベッドを囲んで見送る事ができる。




いつかまた、会おうねと思うのは人間と同じだ。







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