独身と既婚の天使は住む場所からして違う。


独身は男子寮か女子寮どちらかに住むし、結婚する時には、既婚天使だけが住む土地に一軒家を与えられた。









男子寮は建物の西に川の流れるそばにあった。たまに彼らが川で泳いだり遊ぶのを見たことがある。川の向こうには大きな森がある。男子達は年に数回森で大騒ぎするイベントをする。(年に一度、女子には内容が秘密のイベントがある!)





ちなみに男子寮は女子禁制。女子寮もしかり。


神様(男子)でさえ、用事があっても女子寮の中に入ることはできない。ドアをノックして、要件を話す。どんな正当な理由があれども、うっかり入ったら最後、女子らに囲まれ、非難され、しばらくは女子天使達から白い目で蔑まれ、無視されるのだ。





建物は木造二階建てで質素だった。例えるなら昭和の木造校舎のイメージだ。玄関を入るとすぐ廊下があり、個室が並ぶ。左手には階段がある。二階も同じ作りになっている。一階には談話室もある。寮には寮母さんがいて、皆の世話をしてくれた。









新米天使が来る前、毎回部屋替えが行われた。これは新しい天使は玄関近くの部屋と決まっていたから、その為に部屋を空ける必要があった。





個室は狭かった。

部屋に誰かが訪ねて来ると、一層狭くなる。


古参になると二階になり、やや広くなる。さらに奥まった部屋になると寝室付きの部屋があった。





でも寝室付きの部屋に長くいる天使はいない。みな、その頃には結婚して出ていくからだ。












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