天使が空を飛んでいたり空中に浮かんでいる姿の絵を見たことがある。これは正しくない。なぜなら天使は翼を持っていても、基本的に足で移動している。
歩くのだ。
急ぎなら早足しても、空を飛んでいくのはまずない。飛ぶ時はよほど遠くに行く時に限られる。だから空を飛ぶ天使を見かけるのは、流れ星を見かけるくらいにあまりない。そんな天使を見ると遠くに行くのだなと分かる。
ただ、長い翼を雁のようにバサバサ動かし飛ぶ様は、いくら天使でもいただけない。

だから空中に浮かんで、人間に話しかけたりもしない。話すなら、向かい合って話す。直接話しかける自体、あまりしないけど。
天使がそこから追放される時、翼が取り上げられる。直属の神様が大きなハサミで、付け根から切り落とすのだ。
反省して泣き叫んで許しを乞う姿や、力なく座り込み無言でいる姿。
ハサミが入ると、激痛の叫びがあたりに広がる。
それを見守るのが仲間の務めだった。
何人かをそうして見送った。
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