ここには担当の天使が5~6人いたでしょうか。
頭の良さそうなあの子の選択は、正解だと思いました。でも自分の本心との板挟みで、迷いに迷ったあげく、あの男の子とは別の女性にすることにしました。自分が気に入った人がいいと決めたからです。
そう決めると、とてもさっぱりした気分で、じゃあ、そっちに行こうかと歩き出しました。
すると、天使さんがやって来て「ここにいるのはまだ決まってない子ね?」と声を張り上げました。私は、その声に注意を引き付けられましたが、決まったから違うよね?とまた歩き出しました。
すると、あなた!と呼び止められました。
「あなたはまだ決まってない子でしょう?」
「いいえ、もうちゃんと決めました。」
あっちに行くんです、と指を指すと背の高い天使はそちらを一瞥しました。
「あの人?」
その声には威圧感があり、何だか怖くなって、小さく返事をしました。あの男の子が言ってた振り分ける人はこの人の事だろう。
「あの人はダメ。あなたに手を焼きそうだから、違う人にしなさい。私がこれから選びます。」
!
待って、自分で選んだのに。
「あなたには、あそこの人。あそこに行きなさい。彼女なら、大丈夫。」
天使は子供にあなたはあっち、あなたは向こうと指示を始めました。あぁ、どうしよう。やっぱりこの人が振り分ける人だったんだ。
彼女はてきぱき決めると「さあ、教えた人の所に行きなさい。」と天使は声を張り上げました。私達は集団でぞろぞろ歩き始めました。私は自分で選んだ人が諦められないので、集団移動をいいことに、こっそりあの人を目指して行こうと閃きました。
決まった子達のグループと擦れ違いながら歩きます。私は決めた人いるのグループに差し掛かると、擦れ違うのが遅くなり、歩くのが滞るチャンスに集団から抜け出し、さりげなくグループに付きました。
実は、指示された女性が嫌で、そうする子が何人かいました。
やった!
すると、背の高いあの天使が
「あなたはここじゃないでしょう!」
私を集団に戻そうとしました。
「私、この人がいいんです。ちゃんと決めてました!」
「さっきこの人はダメと言ったでしょう?」
「でも、決めた後です。歩き出したし!」
「そういう事があなたは手の焼ける子というのよ。さぁ、戻りなさい。」
言うが早いか、伸ばした腕で体を引き戻されました。私が、手の焼ける子?私、そんな子だったの?手の焼ける子って、乱暴な男の子じゃないの?私がそうなんて、知らなかったよ!
何人かの子は私と同じように、言われた人と別の女性に付こうとしていました。巧くやった子を、失敗した私達は恨みがましく睨むのでした。何とも得意満面の顔を、忘れられません。
子供達が過ごす場所はかなり広く、地球の地面と同じ感触でした。端に行くと、白い雲がちょっとだけせりあがっていて、そこは柔らかな雲になっています。中には好奇心旺盛な子が食べてみよう!と千切って、食べてました。(味はありません)
やがてそこにも慣れてくると、天使さんは「窓」について、教えてくれました。
ここにあって、前の所になかった物。それが窓(望遠鏡)です。「そこから地上を見たいと思うと、地球の人達が見えますよ。みんなが生まれる場所ですから、好きな時に見ていいですよ」と言われました。
窓の枠は雲で出来ていて、サンリオキャラクター、キキララの家の窓が近いイメージです。丸くて、地面近くにありました。遊びに飽きると、だんだん窓から下をながめる子供達が増えてきました。
担当する天使さんによって「いろんな国を見ていいですよ」「何処を見てもいいけれど、生まれるのはこの国です」「生まれる国以外をみても仕方ないから、生まれる国だけを見なさい」と違っていました。
なので「生まれる以外の場所を見てもしかたないので、ここしか見ないで下さい」と言われた私は他の天使が担当する子に頼んで、いろんな国を眺めました。そうしたら、私の天使に注意されても、他の天使の担当の子と見れば叱られないと考えたんですね。
地上にはいろんな場所がありました。
すごく暑そうな国は、やだね~
ここは、私達くらいの子が悲しそうにしている。どうしたんだろう?
こんなに服を着て、顔だけ出してるよ。寒すぎな国?
ある日窓を一緒に眺めた子は、どこをみてもいいと言われていて、世界中を見ていると言いました。私はこの国に私達は生まれるんだって、と教えて二人で観察しました。
髪が黒く、肌は薄茶。スタイルのいい人達ではありませんが、真面目そうなのがいいなと感じました。一緒に見ていた子は、私、こんなとこやだな、髪はきれいな金髪で、目が青い人に生まれたいんだもん!とあからさまに嫌な顔を見せました。
「私だってそっちがいいよ。でもさ、天使がこっちだって言うんだもん。だめだよ。」
世界中には肌の色、髪の色、みんな違うので見飽きる事はありませんでした。
下を眺めるのに慣れてくると、担当の天使が言いました。
「これからはお母さんをさがしましょう。この人の所に生まれたい、そんなお母さんを見つけるのですよ。見つけたら、私に言って下さい。いいですね?
私が見て、合いそうな人だったら神様に話して、生まれるお許しを戴きますから。」
mio 


