海の無い県に生まれ育った私は、大きな海と絶え間なく打ち寄せては砕け散る白波を初めて見た時の衝撃と感動を、今でも忘れる事が出来ません。
海への憧れを抱き続けながら、子供の頃から聞き慣れた 🎶 伊東に行くならハトヤ 🎶のコマーシャルソングにつられて、幾度か伊東の地を訪れるようになりました。
そして 30数年前、海の見える山の中腹に家を建てる事が出来ました。若い時の私達は、少しでも景色が良く見えるようにと、いづれ訪れる老いの事も考えず、沢山の階段を造ってしまいました。
ある時は子供の手を引きながら、ある時は重い買い物袋を両手に下げながら軽快に上っていった階段も、今では痛む膝を労わりながらゆっくり登るしかありません。
S字に曲がった石段を22段、さらにその先を12段上ると、やっと玄関に辿り着きます。ふと考えてしまいました。階段を上れなくなった時が、この思い出深い家を手放さなければならない時なのだと。
疲れた身体を温泉で癒した後、廊下に据え置いたカウンターテーブルで、庭や海を眺めながら過ごすのが私のお気に入りの時間です。


