スタンリー・エリンの「第八の地獄」を読みました。
読もう読もうと思っていたのですけど、なかなか読まずにいました。
早川文庫の最初期に出ていたのですが、現在入手困難です。
アマゾンの中古品でも、最低1600円の値がついています。
私は、同じアマゾンで、もっと安くで手に入りました。
早川文庫の初期には、本当によい作品がそろっています。
それが入手困難になっているのを非常に残念に思っています。
さて、内容です。
主人公は私立探偵会社の社長。
もちろん、自身も現役の探偵です。
先代の社長の没後、会社を引き告ぎました。
でも、先代のやり方から脱皮できなくて、いつも悩んでいます。
ある日、弁護士から事件の依頼を受けます。
事件は、ある警官に汚職の容疑がかかっている。
容疑を晴らすために証拠を探してほしいということです。
ところが、主人公は、その警官の婚約者に一目惚れしてしまいます。
そんなわけで、主人公としては、無実の証拠が見つかって欲しいのだか、見つかって欲しくないのだか葛藤をしながら調査を続けていきます。
作品としては地味です。
主に会話で、ストーリーがすすんでいきます。
その会話のなかで、登場人物のキャラクターが立っています
翻訳者の小笠原豊樹の流麗な訳文が、それを際立たせています。
最低1600円を出してまで読めとは言いませんが、図書館でも探してみてください。
ところで、スタンリー・エリンには、「特別料理」という短編がすばらしい短編があります。
名作といっていいです。
この作品は、あちこちでネタ晴らしがされているので、早めに読んだほうがいいでしょう。
早川書房の異色作家小説集の「特別料理」に入っています。