今日は、フルトヴェングラー指揮のベルリン・フィルハーモニーのベートーヴェンの交響曲第3番「英雄」、ウラニアのエロイカとして有名な演奏です。


第1楽章は、意外とテンポを動かさずに進行していきます。

同じフルトヴェングラーのウィーン・フィルとのスタジオ録音がテンポを大きく動かした演奏なので、少し以外に思いました。

それと、私の好みから言えば、第1楽章の提示部の繰り返しをしてをしているほうがいいのですが、この時代の演奏では、繰り返しをしないのが普通ですし。


第2楽章は、遅いテンポでもたれる寸前までの演奏です、

私の好みから言えば、もう少しきびきびとした演奏が好きですが、これはこれで説得力があります。

いかにも葬送行進曲といった進行です


第3楽章は、ひるがえってきびきびとした演奏です。

トリオの部分のホルンの音色も、すばらしいです。


第4楽章は、前3楽章と比べて、テンポの動きが激しいです。

この楽章自体が、前三楽章よりも軽いという印象だったのですが、この演奏では、その軽さを感じさせない充実した表現です。


全体として、ウィーンフィルとのスタジオ録音に比べて、テンポの変化が少なく、端正な演奏です。

スタジオ録音よりも、ライヴ録音の方が落ち着いていることが、以外です。

もちろん、ライヴ特有の勢いがあります。

私は、どちらかといえば、主観的でロマン派的な演奏よりも、即物的な演奏のほうが好みですが、このフルトヴェングラーの演奏は説得力があります。


ところで、このウラニアのエロイカにはいわくがあります。

もともとこの録音は、海賊盤です。

コンサートの隠し取りを、フルトヴェングラーの了承なく、ウラニアというレコード会社が販売しました。

それをフルトヴェングラーが訴訟を起こして勝訴して、販売中止になったわけです。

そんなわけで、出回ったレコードが貴重品となって、マニア垂涎の的となりました。

でも年月は経ち、フルトヴェングラーの著作権が切れてしまいました。

そして、あちこちのレコード会社から販売されたのですが、少々困ったこともありました。

それは、レコード会社によって音質がさまざまで、どれが一番実演に近い録音かがわかりません。

ピッチもさまざまです。

また、この録音には、ところどころテンポが不安定なところがあります。

これは、録音機材の不備によるものです。


ところが、最近知ったのですが、ヴァイオリニストの時津英裕氏が、状態のよいLPから板起こしををして、テンポの不安定なところを修正し、ピッチを正しく修正したものを、MP3で再現したものをインターネットで公開して、自由にダウンロードをできるようにしてくださいました。

そこから入手しました。


現在は、時津氏のホームページは閉鎖していますので、ネットで探すのも難しくなりましたが、それでも入手が不可能というわけではありません。

前にも言ったことですが、欲しいものを手に入れるためには、必死になれば必ず手に入ります。

どうか、ご健闘を祈ります。