自民党の憲法改正草案では、前文が、まったく新しいものに置き換えられています。


まず第1段で、日本国は、長い歴史と固有の文化を持ち、国民統合の象徴である天皇をいただく国家であるとして、国粋主義の思想が伺われます。


そして、第2段で先の大戦による荒廃を乗り越えて発展したという条項では、現行の条文である、政府のよって再び戦争の惨禍が起こることのないようにという、戦争の反省はまったく欠け落ちています。

また、第3段で、国と領土を誇りと気概を持って自ら守り、という戦争を前提としたと理解させらる条項があります。


また、同段には基本的人権とは別に、和を尊びという文言があります。

これは、基本的人権を制約する根拠が公共の福祉と置き換えられた、公の秩序及び公の秩序に置き換えられていることの裏づけとなっています。

そして、家族や社会全体が互いに助け合って国家を形成する、との条項には、社会福祉を放棄して、家族の問題として卑小化するものでしょう。


そして、第3段、美しい国土と自然環境を守りつという文言には国粋主義が伺われ、自由と規律を重んじ、活力ある経済活動を通じてという条項には、新自由主義の思想が伺われます。


第4段には、良き伝統、われわれの国家を末永く子孫に継承されるための規定には、国粋主義とともに。継承されるのは、国民の主権ではなくて子かであるとの思想が伺われます。


現行憲法の序文は、まず、国民主権と平和主義、そして政府の行為によって再び戦争の惨禍が起こることがないようにと規定しています。

この記述には、戦争に対する反省がこめられています。

また、この国民主権を人類普遍の原理とし、この憲法は、その原理に反する一切の憲法、法令及び詔勅を排除すると宣言しています。

この条文から、日本国憲法は、自民党の憲法改正草案のような「その原理」に反する憲法改定を許していないことが伺われます。

この自民党の憲法改正案は、まさしく、憲法改正の名を借りたクーデターというべきでしょう。


また、現行憲法の第2段は、全世界の国民が、平和のうちに生存する権利、平和的生存権を規定しました。

この条文は、首相の靖国参拝訴訟の名古屋高裁判決で、判例としても確立しています。


第3段においては、政治的道徳の法則は、普遍的なものでありと規定し、国粋主義を排しています。


そして、第4段において、国家の名誉にかけて、全力をあげてこの崇高な理想と目的を達成することを誓っています


こうして、現行日本国憲法の前文から抜粋してお話をしてみましたが、まだ抜け落ちていることが多いと実感します。

皆さんも、ぜひとも日本国憲法の前文を読んでください。

確かに、少々こなれていない文章ですが、ここに書かれている意味は、容易に読み取れることでしょう。

そして、この現行憲法の条文と、自民党の憲法改正草案とを比べてみてください。

その拡張の差がはっきりとわかると思います。