今日は西本智実指揮のベラルーシ国立交響楽団のコンサートに行ってきました。
これで、西本智実の実演に触れるのは3回目になります。
今回の曲目は、リムスキー=コルサコフの「スペイン奇想曲」、ラフマニノフのピアノ協奏曲第3番、プロコフィエフの交響曲第1番「古典交響曲」、ストラヴィンスキーの「火の鳥」組曲です。
ピアノ独奏はアレクサンダー・ルビャンツェフです。
今回は一番上等の席を取ろうと奮発してA席を申し込んだら、なんと指揮台の直前、第一列の中央の席が取れました。
ここからだと、西本智実の指揮姿が一番良く見えると思いました。
以前にもこのブログにかいたように、西本智実の身体の動きと音楽とが共振するところが見たかったのです。
その希望はとりあえずはかなえられました。
確かに指揮者に一番近い席ではありましたが、指揮者に近すぎて指揮の動きと奏者の動きとを同時に俯瞰しにくくありました。
また、ピアノ協奏曲のときは最前列の中央の席からでは指揮者の姿が完全にピアノの陰に隠れてしまい識者の動きがほとんど見えません。また、ピアニストの手の動きも良く見えません。
そして、何よりも楽器の音が私の頭の上辺りを通過して後ろに行ってしまっているようです。音響的にも最前列は良くなかったです。
結論としては、ベストの席は最前列ではなくてもう少し後ろの方、中央の真ん中あたりといえましょう。そしてピアニストの動きを見たければ中央から左方向の席が良いでしょう。
とか何とか言いながら、演奏自体は満足いくものでした。
全体的に楽器の音が生々しかったです。
それがスペイン奇想曲にぴったりでした。
日ごろそれほど聴いたことのないなじみのない曲でしたが、それだけに初めて聴くような新鮮さを感じ、もっといろいろな演奏を聴いてみたいと思わせられました。でも、この体験をしのぐだけのものはなかなかないとは思います。
ラフマニノフの協奏曲は、この日最大の大曲でした。
大曲だけに曲の構造を把握することが重要ですが、私は、この曲を聴くのが初めてだったので、聴いていて迷子になってしまい、充分に堪能することが出来なかったのは残念です。
しかし、部分的には曲自体のすごさと演奏技術の凄さを感じさせられる場面がありました。
確か私は、この曲のCDを持っていたはずなので(アシュケナージとオーマンディとフィラデルフィア管弦楽団)予習をしていなかったことを残念に思い反省もしました。
ピアノの陰になってよく見えなかったのですが、ピアニストと指揮者とが合図を交わしている場面もしばしあったみたいで、今度からはもっと指揮者とピアニストとが良く見える席を取ろうと思いました。
ルビャンツェフの演奏は、技術的に物凄いことをやっているにもかかわらず、顔色にはぜんぜん現れないところが印象に残りました。
アンコールを2曲もしてくれました。2曲目のリストみたいな曲が凄いテクニックで唖然とさせられました。
プロコフィエフの古典交響曲は、作曲者がハイドンが現代に生きていたら作っていたであろう作品というコンセプトの曲です。
実際にテレビのN響アワーのオープニングにこの曲の第3楽章が使われていましたが、私は長らくハイドンの曲と信じ込んでいました。
さて、今日の西本智実とベラルーシの演奏では、古典的なハイドン風の側面よりも、旧ソ連風のモダニズムの雰囲気が濃い、なんとなくノスタルジーを感じさせる演奏でした。まあ、ベラルーシも旧ソ連だし。
最後のバレエ組曲「火の鳥」は、冒頭の低弦の響きから迫力がありました。ここまでくるともう席の位置だとか音が頭の上を通過するなどといっていられないです。
私は、西本智実はロシアの爆演系の指揮者の系列に属すると考えているのですが、それに恥じない爆演をしてくれました。
西本智実の音楽作りの特色として、ティンパニ等の打楽器を強打することが挙げられると考えますが、今日も打楽器が全開でした。
雰囲気も満点で、テレビで何回も見たストラヴィンスキーの来日公演を彷彿とさせられてこれもまたノスタルジーを感じさせる演奏でした。
今回のコンサートで一番感じたのはやはりソ連やストラヴィンスキーの来日といった「昭和」という時代へのノスタルジーでしょうか。
最後にアンコールがありました。
ブラームスのハンガリー舞曲の番号は忘れたけどもっとも有名な2曲のうち、1番ではない方です。
本当のところを白状すると、このコンサートで一番凄かったのがこのアンコールのハンガリー舞曲です。
高弦のねっとりと歌う旋律を低弦の持って回ったリズムでぶちきったこのアンビヴァレントな味わい。
ともかくもどの楽器もわれもわれもと自己主張をする。
こんな楽器軍を強力で束ねてしまう西本智実の凄腕。
これぞ、ロシアの爆演系指揮者の一人である西本智実の面目躍如たるものといえましょう。
この一曲のためだけにこのコンサートを聴きに来た人をも満足させるものと断言できます。
てなわけで、今日は堪能しました。
欲を言うならば、今回の来日公演のもう一つのプログラムである、ブラームスの交響曲第1番も聴いてみたかったということでしょうか。
前回の長崎で聞いたベートーヴェンの交響曲第7番のときももう一つのプログラムはマーラーの交響曲第5番でしたし、前々回長崎で聴いたチャイコフスキーの悲愴のときはもう一つは同じくチャイコフスキーの交響曲第5番でしたから。
どうしても、もう一つのプログラムのことが気になります。
今度来た時は考えましょうか。