【 なぜか不人気車に・・・ 】
RA125 で林道ツーリングの楽しさを味わいながらも、125cc=原付二種という排気量区分ゆえの制約にストレスを感じていました。
「高速道路が走れれば、もっと遠くの林道へ行けるのに…」
「もう少し排気量があれば、ここ一番のパワーが簡単に出せるのに…」
そんなふうに思い始めると、ムクムクと250ccに対する興味が湧いてきます。排気量の区分で何の制約も受けないことに、伸び伸びとした自由さを感じていたのです。
信号待ちて゛RA125 の兄貴分、同じ SUZUKIの RH250 が隣りに止まる度に、フロントの前端からリアの後端まで、撫で回すように眺めました。信号が青に変わるや否や、青白く淡い煙りと2ストの香りを残して走り去る姿に憧れを抱きました。
「なぜ、あれが不人気車なのだろう・・・」
そうなのです、水冷2スト250ccという過激さとは裏腹に、何故か人気の無いSUZUKIのオフ車。でも、中古で買うなら RH250 はお値打ち品間違いなしです。
【 中古探し 】
インターネットの無い当時(1987年)、片っ端からバイク屋に行ってはRH250の出物を探しました。どの店でも「RHはパワーは有るけど足回りが時代遅れだからやめとけば? これなら文句なしの最高ですよ」と言って指差すのが、発売されて間もないHONDAの XLR250R(MD20) でした。
空冷4スト250ccの XLR250R は、当時としては抜きん出たサスペンション性能とオフでの安定感、扱いやすさで爆発的な人気がありました。
目を引き付けるような最新機構は特にありませんでしたが、エンジンやフレーム、サス周りの総合的なバランスが素晴らしく、他のライバル車が色あせて見えるほどでした。このバイクを越える新型車を開発することが、他メーカの目標となったほどです。
私は RA125 をオフ車としてだけでなく、2スト車としても楽しんでいたので、その代替となるバイクは2スト以外は考えられませんでした。それにオフで乗りこなせるかどうかは別として、ジャジャ馬のような RH250 には、優等生の XLR250R に無い魅力を感じていたのです。
何件目かの店で、程度も良く走行距離も短めの RH250 を見つけ、不人気車ゆえのダウンプライスに心の中から感謝しました。
しかしながら、下取りの RA125 も不人気車だったので、買取価格もプライスダウン…
不人気車同士のトレード話は、とりあえずなんとか無事に纏まりました。
(車両価格は25万程度だったかも)
購入車両の年式は1986年型で、新発売時の1984年モデルに付いていた高度自動補正機構(高地で空気が薄くなったときに自動的にキャブの燃調を変える装置)は廃止されていました。当時の技術では不具合が多かったのでしょうか。
【 オフのRG250Γ 】
RH250 はそのエンジンの過激さから「オフのRG250ガンマ」と形容されることがありました。最大35psのエンジンはカタログスペック以上にパワフルで、単気筒ならではの出足の良さと、オフ車ゆえの軽量な車体から、街中ではガンマ以上のスタートダッシュの良さで他車を引き離すことが出来ました。
もちろん80km/hに達する頃には追い抜かれますが、その時にはアクセルを戻したような振りをして先頭を譲ります。
アイドリングでも、排圧がチャンバーの内壁を叩く音がかすかに聞こえ、ジャジャ馬の片鱗を伺わせます。
高速道路を使った林道ツーリングは快適でした。走り廻って疲れたあとも、高速を使って一気にワープして帰れます。残りの体力も計算できるので、楽しい思いをパックに入れてお持ち帰り出来るような感じです。
輸出仕様のRH250(名前はTS250X)
エンジンはパーシャルが嫌いなようで、高速道路やバイパスを一定のアクセル開度で走り続けると、僅かではありますがエンジンがギクシャクしたような感触があります。ほんの少しでもアクセルを開けるか閉じるかの状態で安定するのですが、同じスピードを維持した走りは苦手なようです。
【 ジャジャウマ RH 】
その過激なエンジン特性と、それに伴っていない足回りのアンバランスさから、オフを私の腕で乗りこなすのは少々難しいものがありました。借りて試しに乗った XLR250R が別次元のバイクに思えた程です。
ギャップを越えた後などに揺れが収束するまで、ワンテンポの時間がかかるように思えました。しかしながらジャジャ馬に跨る楽しさは RH250 ならではのもので、それが一番の魅力かも。
今は無い SUZUKI のユーザクラブ「JAJA-UMA CLUB」って、このRH250をイメージして作ったんだなと、勝手に思っていました。
【 2スト単気筒車として 】
125ccクラスの維持費の安さは大きなメリットですが、道路の通行区分において、自動車に準じた扱いを受けられる250ccクラスのメリットも、コストパフォーマンスの点で大きなものがあることを、シミジミと実感しました。
RH250は同年代のバイクと比較して、オフ車で最も重要なサスペンションが見劣りますが(XLR250Rが素晴らし過ぎるのかも)、数少ない2スト単気筒車としての大きな楽しみもあります。
今は手元に在りませんが、機会があれば是非また乗ってみたいです。
2スト単気筒オフ車が華やかりし頃の1台だったかも。
--------------- 主な諸元 -------------------------
車名:RH250
形式:SJ11B
全長×全幅×全高:2150mm×825mm×1230mm
軸距:1430mm
シート高:850mm
乾燥重量:111kg
エンジン型式:水冷式2サイクル単気筒
排気量:249cc
最高出力:35PS/7500rpm
最大トルク:3.4kgm/6500rpm
タイヤサイズ 前:80/80-21
タイヤサイズ 後:130/80-17
発売年:1984年(購入年:1987年)
定価:399,000円
-------------- 1987年のヒット曲 --------------------
2位 中森明菜:『TANGO NOIR』
3位 吉幾三:『雪國』
4位 光GENJI:『STAR LIGHT』
5位 松田聖子:『Strawberry Time』