先日、テレビを観ていたとき、HONDA のコマーシャルで様々な製品がワンショットの画像で流れていました。車やバイクはもちろんのこと、船外機やロボットのASIMO、耕運機から飛行機まで、そのラインナップの広さと幅広い技術力、社会に対する貢献をPRしたCMでした。
女房は「HONDA は随分いろんな物を造ってるね。さすが HONDA。他のバイクメーカーとは違うね」と感心していました。
私は思いました。「ちょっと待て!天下の川崎重工様を何と心得る!」
そうです、その「重工」の名前が指し示すとおり、Kawasaki はあらゆる分野を手がける総合重機械メーカーなのです。
それも、我々庶民の物欲を刺激して、爪に火を灯す思いで貯めた小金を吸い上げるような商売ではなく、日本政府を相手に国家的工業製品を開発・製造して下さっている有り難い企業様なのです。
ZX-12Rの縁もあることですので、川崎重工様に頼まれてもいない私が勝手にKawasaki 製品を紹介してみます。
【 三式戦闘機 飛燕 】
1943年、第二次大戦中にKawasakiが開発した高性能戦闘機です。水冷式エンジンを搭載し、恵まれた高速性能と運動性によりアメリカの最新戦闘機とも互角以上の戦いをしました。しかし戦局が悪化し、資源が枯渇するにすれ、飛燕を安定生産する工業インフラを維持することが困難となり、戦局を変えるだけの機数を生産することが出来ませんでした。
戦後、HONDAが湯たんぽをガソリンタンクにした原動機付の自転車を開発し、箱根の峠道で悪戦苦闘する以前から、Kawasaki は高度一万メートルでB-29と戦っていたのですね。
【 対潜哨戒機 P-3C 】
海上自衛隊に配備されている航空機です。海中深く密かに航行する原子力潜水艦を、ソノブイと呼ばれる投下式の音響ソナーや、地磁気の乱れを検知するセンサーで見つけ出し、対潜水艦用の魚雷で攻撃します。
航空機と比較して、遥かに低速な潜水艦を広い海域の中から低空飛行しながら探し出すため、ジェットエンジンではなくプロペラのエンジンを搭載しています。
Kawasaki のP-3Cが海の通商路を守っているから、SUZUKI は安心してハヤブサを輸出出来るのですね。
【 潜水艦 】
海上自衛隊の潜水艦を Kawasaki が開発・製造しています。
非原子力のディーゼル潜水艦としては世界最大級です。原子力潜水艦よりも恵まれた静寂性と、外側に張り巡らされた音波吸収材により、敵側のソナーから発見されにくい構造になっています。
過去に何回か、アメリカ海軍との対抗演習で Kawasaki の潜水艦がアメリカの原子力空母に対し、「撃沈」の判定を得たこともあります。
Kawasaki にとっては、YAMAHA のマリンジェットなんて、空母と比べれば海に浮かぶ爪楊枝みたいなものなんでしょうね。
【 H2-Aロケット 】
大型国産ロケット「H2-A」の一部と、それに付随する関連設備を Kawasaki が製造しています。H2-Aは、静止軌道上に約6トン近い質量の衛星を打ち上げることが可能で、最近では情報収集衛星や月周回衛星「かぐや」、高速インターネット衛星「きずな」等を宇宙空間に送り込んでいます。
HONDA が最近開発した小型ジェット機なんて、Kawasaki から見れば空に浮かぶ凧みたいなものなのでしょうね。
【 資源リサイクルプラント 】
各種産業廃棄物等の資源を有効に活用するリサイクルプラントや再資源化設備を Kawasaki が開発・製造しています。これからの地球温暖化対策や環境保護に無くてはならない施設・技術です。
HONDA がハイブリッド車で燃費が数Km上がったと喜んでいるのと比べ、Kawasaki はリサイクル工場自体を作ってしまうなんて、さすがスケールが違います。
【 各種建設機械 】
トンネルを掘削する大型シールドマシンや、各種建設用大型機械を Kawasaki が開発・製造しています。
「バイクを造ったから、それが走る道路や橋も作ろうかな・・・」なんて、さすが Kawasakiさん。頭が下がります。HONDA や YAMAHA、SUZUKI の工場も、これらの建設機械で造ってあげてることでしょう。
【 新幹線 】
JR各社の新幹線車両を Kawasaki が開発・製造しています。新幹線のおかげで多くの旅行者が安全で快適な旅を楽しむことができ、社会にとって必要不可欠なインフラとなっています。
HONDA がF1マシンで1人を時速300Km/hで運ぶのがやっとなのに、 Kawasaki は一度に千人以上を新幹線で運びます。途中でクラッシュしたりリタイヤすることも殆どありません。
【 原子力発電設備 】
生活に欠かせない電力を供給して下さる原子力発電所の設備の一部を Kawasaki が製造・建築しています。
放射能が漏れないよう Kawasaki が尽力している時に、バイクのエンジンから少しくらいオイルが漏れたからって文句を言っていた自分が恥ずかしいです。
こんなに社会のために貢献して下さっている川崎さん、ありがとうございます。
お忙しいとは存じますが、これからも御仕事の合間にでも構いませんから、どうか速くてカッコいいバイクを作って下さいませ。