【 気になるオフロード 】

SUZUKI GSX400FW でオートバイデビューをした私は、その楽しさに触れる度にバイクに対する興味が益々強くなりました。通勤電車の中でもバイク雑誌のツーリングレポートを読んでは旅をしている気分にひたり、広告のページをながめては、給料が入ったらどんなバイク用品を買おうかあれこれ思案。頭の中は寝ても醒めてもバイクのことばかり。


そんな中で日増しに「オフロード」というジャンルが気になってきました。オンロードの楽しさは GSX400FW で味わってはいるものの、オフロードの世界は全くの未知だったのです。自然の中に入り込み、土の上を駆け抜けるオフの野性味と躍動感に、今までに無い楽しさの可能性を強く感じました。


表があれば裏があり、オンがあればオフがある。バイクの両面を知るためにもオフロード車があればなあ… と胸を高鳴らせてはみるものの、「2台持つのは贅沢かも」とその気持ちを抑えたり… 暫くの間、悶々とした気持ちで過ごしていました。



競技専用車によるモトクロス走行シーン


そんなある日(1986年春)、ひょんなことから知人に中古のオフロード車を買わないかと持ちかけられたのです。詳しい話を聞くと「買って間もない125ccのオフ車があるが、転勤で遠くに引っ越すので乗れなくなった。欲しいなら格安で売る」とのこと。

なんて奇遇な!それってオフ車に乗れという神のお告げか!


はやる気持ちを抑え、返事は現車を見せて頂いてからということとし、次の休日に知人宅を訪ねました。

車庫から出てきたバイクは、日の光に映える鮮やかな黄色を放ち、スラリとした足回りを持つカモシカのようなオフロード車でした。それがSUZUKI RA125 です。


走行距離は2000km程、程度は極上と言って何ら問題ない状態です。もはや迷いなどはありませんでした。その場で買いますと返事をした後は、書類上の手続きをお願いし、翌週には自分のバイクとすることが出来たのです!


【 RA125 について 】

RA125 は、SUZUKI がハスラーシリーズとしてリリースしていたTS125の後継モデルとして、1984年に発売した125ccのオフロード車です。(私が買ったのは1986年)


搭載された水冷式2ストロークエンジンは、クラス上限の最大22馬力のパワーを出し、街中でも林道でもメリハリの効いた走りを楽しむことが出来ます。

ストロークの大きいフルフローターサスやアルミスイングアーム,ディスクブレーキなどの装備は、上級クラスの250ccマシンと比べても何の遜色も無く、違いは排気量が半分なことだけといえます。



輸出仕様のRA125(車名はTS125)



RA125の先代モデルTS125(1982年)


ワークスモトクロッサーマシン「RA」の名前を付けているだけあって、SUZUKI の並々ならぬ意気込みが感じられます。125ccクラスは、なんとなくメーカーが手を抜いているのではと思っていましたが、RA125 は真剣勝負の本格的バイクなのです。

(そのわりには意外と売れませんでした… 何ゆえ?)


【 インプレ 】

何の排気デバイスも付いていない「ピュア」な2ストロークエンジンは、吹け上がりも軽やかでダルさや気難しさもありません。体感的には3割り増しくらいの排気量に思えるかも。

街中でも車の流れの先を走ることが可能で、基本に忠実なギアチェンジのタイミングとアクセルワークで250cc以上のバイクに付いて走ることも出来ます。


車格も大きく、雰囲気をぶち壊すピンク色の小型自動二輪ナンバーさえなければ、バイクに詳しい人でも125ccって気付かないのでは?

乗車姿勢も快適で、「上体を真っ直ぐにし、手をやや広げてながら下げたところにハンドルグリップある」というオフロード車としては当たり前のポジションも、他を知らない私には新鮮で快適なものでした。




オフロードでもストロークの大きなサスペンションのおかげで、初心者の私でも様々なギャップや凹凸にもひるむことなく走る抜けることが出来ます。軽い車体重量ということもあり、オフ未経験者には必要充分、ベテランもそれなりに楽しめると言えそうです。

ですが走行抵抗の大きいオフの路面では、やはりアンダーパワーを感じることもありました。オンでは排気量以上に思えたパワーも、オフでは排気量並という感じです。


標高が1000mを超える林道では、空気密度の薄さによるパワーダウンが顕著に現れました。高いギアでアクセルを回しても反応が乏しく、低めのギアを使うことを心がけないと機敏な走りが出来ません。空気の薄い(酸素の少ない)高所でのパワーダウンは、どのエンジンにも当てはまる宿命ですが、他のエンジン以上に小排気量の2スト車には影響が出てしまうのでしょうね。


オフ車を買った理由が、河川敷のコースを走るよりも林道を走りたいがためなので、これは問題です。大抵の林道は高所にあるため、酸素不足によるパワーダウン対策が必要です。近所のバイク屋でキャブのセッティングを見直してもらい、完璧にとは言えないまでも以前よりは落ち込みの少ないエンジンになりました。低所での影響も少なく、まずは一安心。



輸出仕様のRA125(1988年型)


【 125ccの宿命 】

いくらバイクの性能が恵まれていても、弱点を自分なりに克服しようとも、いかんともしがたいのが125cc=原付2種であることの車種区分です。法的に高速道路を走行出来るのは126cc以上という規則があるため、林道に出かけるには自宅から目的地まで全て一般道しか通れないのです。


これはもちろん買う前から判ってはいたことですが、実際にその制約を受ける負担の多さを実感しました。特に、林道を走りまわって疲れた後、延々と一般道を通って帰らなければならないことは体力面で辛いですよね。

また、他のオフ仲間は全て250cc以上であるため、通行区分の制約から一緒に行動することが困難なことも多々有りました。


割り切ってはいたのですが、やはり「125ccの宿命」を否応無しに味わうこととなったのです。RA125 自体は、楽しく排気量以上にパワフルなのですが、これだけが最も残念なことでした。




【 セカンドバイク 】

以前からの GSX400FW に加え、全くジャンルの異なる RA125 に乗ることで、バイクの楽しみが一気に広がりました。場面によりバイクを使い分けることで、お互いのバイクの乗り味の違いを比較しながら、今まで気付かなかった良さを見つけたりすることもしばしば。楽しみ方の「面」が広がったというよりも、別の「次元」が増えたという感じです。


125cc は維持費が安いこともあり、2台所有することについての経済的負担も殆どありません。RA125 にはオフの楽しさだけでなく、セカンドバイクを持つことのメリットも教わったと言えます。

このときから今日に至るまで、常にジャンルの異なる2台以上のバイクを維持し続けてきています。


--------------- 主な諸元 -------------------------

車名:RA125

形式:SF13A


全長×全幅:2070mm×840mm
軸距:1430mm
シート高:860mm
乾燥重量:110kg


エンジン型式:水冷式2サイクル単気筒
排気量:124cc
最高出力:22PS/8000rpm
最大トルク:2.0kgm/7500rpm


タイヤサイズ 前:80/80-21
タイヤサイズ 後:110/80-18


発売年:1984年(購入年:1986年)

定価:266,000円


-------------- 1986年のヒット曲 --------------------

1位 石井明美:『CHA-CHA-CHA』
2位 中森明菜:『DESIRE -情熱-』
3位 少年隊:『仮面舞踏会』
4位 KUWATA BAND:『BAN BAN BAN』
5位 渡辺美里:『My Revolution』

にほんブログ村 バイクブログへ

ナツメロ風愛車レポ 次ページへ