パリダカは、そのスケールの大きさと過酷さから、多くのファンを魅了しました。
1980年代の後半から人気は年々高まり、ヨーロッパだけでなく、日本でも盛んにマスコミに取り上げられるようになりました。

テレビ朝日ではパリダカの期間中、毎深夜にその日のレース状況をダイジェストで放送したり、特集番組を作ったりもしました。

パリダカは単なるラリーレイドの枠を越えて、アフリカの過酷な砂漠で生身の人間がマシンを駆使しながら遥か彼方のゴールを目指す、まさに冒険ドラマとして知れ渡るようになったのです。
2輪、4輪を問わず、多くのメーカーがワークスチームとして会社をあげて参戦し、多数の企業がそれをスポンサードしました。





アフリカの砂漠を疾走する様々なパリダカ参加マシン


そんな1988年5月20日、ついにその時がやってまいりました。
(またまたNHKの「その時、歴史は動いた」風にお願いします)

HONDA はそれまでのトランザルプを改良し、パリダカで優勝したNXR750イメージのアフリカツイン(AfricaTwin)を発売しました。(型式名:RD03)

二つのヘッドライトを備え、長距離をガソリン補給無しで走り抜けられる巨大なガソリンタンク、サブタンクを思わせるサイドカバーの膨らみ、そして車体の前半分を覆う大きなカウル、エンジン下部を保護するアルミ製のガード、何よりワークスマシンを思わせるトリコロールカラー…


アフリカツイン(1988年式 RD03)


スタイルはまさにパリダカマシンそのもの!
というよりも、実際のプライベート参加車よりも、ずっとパリダカの雰囲気が濃いと思わせるスタイルでした。

当時、オンロードバイク界を席巻していたレーサーレプリカブームが、ついにオフロードバイクにも!みたいに思えて胸が小躍りしました。



パリダカでのHONDAワークスマシン
NXR750(1989年)

実は、タンクを含めた外装以外は殆どトランザルプと同じだったりしますが、まぁ、そこは開発コストを少しでも抑えて、リーズナブルな価格でパリダカファンに提供したいという HONDA の配慮が感じられます、よね!


エンジンの排気量は、トランザルプの600ccから650ccにアップされましたが、パワーは52馬力のまま。

最大トルクは5.4kg-mから5.7kg-mへと、若干上がってはいますが、車両重量は197kgから221kgに、約24kgも増加しています。


実際のオフロード走行は乗り手の腕次第という感じでしたが、長距離ツーリングを快適に楽しめる新しいパリダカレプリカバイクの登場を、多くのバイク乗りは歓迎したのです!


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アフリカツイン(RD03)の主な諸元は以下のとおりです。


型式:RD03
発売日:1988/5/20


全長×全幅×全高:2310mm×900mm×1320mm
軸距:1550mm
シート高:880mm
車両重量:221kg
乾燥重量:195kg


エンジン型式:RC31E
排気量:647cc
最高出力:52PS/7500rpm
最大トルク:5.7kgm/6000rpm


燃料タンク容量:24L

タイヤサイズ 前:90/90-21
タイヤサイズ 後:130/90-17



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