誰もが発売された ZX-12R に対し、明確なアドバンテージを持って SUZUKI の GSX1300R 隼を蹴散らしてくれるものと期待していました。

僅差ではなく圧倒的な性能差・・・ カワサキファンは、かつて ZZ-R1100 が他のライバル車に対して、新型車というよりは次世代車とも言うべきアドバンテージを示したときのことを頭に浮かべていたと思います。

メーカーがライバル車を徹底的に研究したうえで新型車を開発し、それより性能が勝っていることを確認してからリリースしているのですから、当然のことです。
後から出したジャンケンが負ける筈がないのです。



しかし、その結果は微妙なものでした。
海外の権威ある(と言われている)バイク雑誌のテストによると、最高速は未だに GSX1300R 隼が僅かに数km/hながら上回っているとのことなのです。

GSX1300R 隼の314km/hに対し、ZX-12R は312km/h、その差は2km/hとは言え、最速王の称号を奪い取ることは出来ませんでした。



冷静になれば、テストの条件や、バイク個体の差、何よりテストライダーのスキルにより、その程度は誤差の範囲と言えなくもありません。バイク雑誌の記事に一喜一憂するのは、大人気ないことではあるのです。でも、半ば意地になっていたカワサキファンには、このテスト結果は面白くないことでした。かつての ZZ-R1100 のように、誰もが認める圧倒的な最速王を楽しみにしていたのですから。


この1誌だけでなく、他のバイク雑誌による最高速テストにおいても、同様の結果がレポートされていることもありました。もちろん、ZX-12R が最高速で勝っているとのインプレ等が載っている雑誌も多々ありましたし、300Km/h に達するまでのタイム比較においても、ZX-12R に若干のアドバンテージがあるように伝えている雑誌もありました。


しかし、それらを纏めて世界最速バイク争いの「結論」を出すとすれば、「引き分け」の判定が一番相応しいものでした。


後から出したジャンケンで「引き分け」・・・ 

それは実質的に負けに等しいものかもしれません。



1999年の東京モーターショーで御披露目の ZX-12R


さらに、非日常的な300km/hを超える最高速がどうこう以前に、乗り易さや扱い易さといった基本的な性能に対し、熟成不足が多すぎるといった意見が、バイクジャーナリストだけでなく、一般ユーザーからも指摘されたのです。

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