21世紀も間近の2000年、Kawasaki は SUZUKI GSX1300R(隼) に対抗するマシンを発表しました。ついにその時がやって来たのです。
(NHK「その時、歴史は動いた」風に)
Kawasaki から発売された ZX-12R のスペックは、怒涛の178馬力(マレーシア仕様は181馬力)、最高速は310km/hオーバー、まさに ZZ-R1100 が奪われた王座の奪還を目指した Kawasaki の渾身の一撃でした。
Kawasaki ZX-12R(2000年)
300km/h の世界では空力性能が最高速に大きく影響するため、車体幅のスリム化による空力特性の向上と、高速域における車体の剛性確保を両立させるため、モノコックフレームが採用されました。エンジンの外側をフレームが覆わない構造により、その分、車体幅を狭めることが可能となり、空気抵抗を少なくすることが出来るのです。
そのために Kawasaki(川崎重工業)社内の航空機部門のメンバーも開発に加わり、航空機用の風洞実験設備を使いながら車体デザインを煮詰めました。
聞いた話によると、航空機用の風洞実験装置は、自動車やバイク用のものとは精度や測定レベル等において全く次元が異なり(比べること自体がナンセンスとか)、他社では出来ない詳細な測定を繰り返した上で、デザインを決定したそうです。
また、高速走行時の風圧を直接エンジンに取り込むことにより吸気圧を可能な限り高め、ターボエンジンと同じ効果を得るためのラムエアーインテークのダクトが、フロントカウルから突き出たデザインとなっています。
(ラムエアーインテークは風圧を利用するため、250Km/h以上の速度域で 10数馬力の上乗せ効果があります。)
これも航空機用の風洞実験設備による成果の一つです。結果的にそれが ZX-12R の個性的な面構えとなりました。
ZX-12Rのラムエアーインテークダクト
これでZZ-R1100が奪われた最速王のタイトルが、何年ぶりかで Kawasaki に帰ってきた…
誰もがそう思いました…
しかし…
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ZX-12Rの主な諸元は以下のとおりです。
(括弧内はライバルのGSX1300R(Hayabusa 隼))
型式:ZX1200A1(GW71A)
発売日:国内販売無し(逆輸入でのみ購入可)
全長×全幅×全高:2080×725×1185(2140×740×1155)
軸距:1440mm(1485mm)
シート高:810mm(805mm)
乾燥重量:210kg(217kg)
エンジン型式:4ストローク並列4気筒(DOHC16バルブ)
冷却方式:水冷
排気量:1199cc(1298cc)
最高出力:178PS/10500rpm(175PS/9800rpm)
最大トルク:13.6kgm/7500rpm(14.1kgm/7000rpm)
燃料タンク容量:20L(21L)
タイヤサイズ 前:120/70-17(←)
タイヤサイズ 後:200/50-17(190/50-17)
