HONDA の CBR1100XX はエンジンに2軸バランサーを持っているため、高速域においても微細な振動の無い快適な巡航性能を持っていました。
それは最大馬力や最大トルクといった、エンジンパワーによる数値上の「性能」だけでなく、「走りの質感」においても ZZ-R1100 を凌ぐものでした。
CBR1100XX
ZZ-R1100 のエンジンは1984年に発売された GPz900R のものをベースに、排気量アップとチューニングを加えた物ですが、もはやそれではトップに留まり続けることは不可能であることを感じさせました。基本設計の古さが、もはや限界に達していたのです。(GPz900R の開発時、エンジンの基本設計の段階で、何年にも渡りここまでハイパワー化を目指すことを想定していませんでした)
久々にHONDAのバイクが、世界をリードする新たなトップモデルとして登場したことに、HONDAファンのみならず多くのバイク乗りが歓迎しました。
当時のHONDAは、工業機械としては非の打ち所が無い、秀作とも呼べるバイクを数多くリリースしてはおりましたが、1000cc以上のクラスにおいて、有無を言わせぬ圧倒的迫力と存在感、判りやすい高性能(最高速、最大馬力)を誇るバイクに乏しかったのです。
そのため、逆輸入車のセールスポイントである「フルパワー」というキーワードに合致する車種が無く、多くのバイク乗りは他社のフラッグシップ(FZR1000、GSX-R1100、ZZ-R1100)に魅力を感じていました。
休日に高速道路を走ると、サービスエリアに沢山の CBR1100XX を見かけました。
HONDA の大型逆輸入バイクをこんなに何台も見るのは何年ぶりだろう…
ちょっと感慨深いものがありました。
しかし、 CBR1100XX の天下も長くは続きませんでした。
新たな最速王の登場は、他メーカーの次世代車開発の動きを刺激したのです。
そして1999年、SUZUKI から満を持して GSX1300R(HAYABUSA 隼) が発売されました。
