出産から3時間経った。




部屋に戻ってやっと赤ちゃんと会える。



看護師さんが棺桶に入った子を連れてきてくれた。

お布団に入ってて顔もコットンで隠してあった。



抱っこ出来るのかと思っていたけど

棺桶に綺麗に入っているし


体は元々羊水の袋の中にいたので

肌は乾燥しきっておらず張り付く。


これは箱から出してあげれないかもしれない。

赤ちゃんの皮膚が私の手に張り付く。


顔のコットンも血と乾いてきた羊水でおでこに張り付き始めていた。



抱っこは出来ないかもしれない。

このまま顔に置かれたコットンをとって

お花を敷き詰めようと思う。




ごめんね。

きつかったね。




あなたの名前を考えたのよ。

いのりちゃんっていう名前にしたの。


だからここに書いとくね。

小さな紙に


「命名 いのり」


漢字はこう書くんだよ。

裏側にママの名前がわかるように私の名前書いとくね。



そのとき体が大きく動いて

こくんと頷いたように見えた。




名前気に入ってくれたんだね。



急に動くから

てっきり目を覚ますのかと思ってちょっとびっくりしちゃったよ。




動くんだね。

へその緒に酸素みたいなのまだ残ってるのかな。



お名前はここに置いとくね。

名前を書いた紙を顔の横に置く。



それからね、パパがお守りを持っていくように言ってたから

一緒に入れとくね。


あとお兄ちゃんのお下がりだけどお洋服も入れとくね。

それから靴下ね。

女の子は足を冷やしたらダメらしいから

ちょっと大きいけど入れとくね。



向こうに行ったらひぃおじいちゃんが待ってくれてると思うから

一緒に遊んで待っててね。


それからみんなを見守ってね。

特にパパね。

暴飲暴食しないように見張っててね。




また首が動いて頷く。





いのりちゃんはお利口さんだね。


ママが3時間も待たせたのに

待っててくれたんだね。


ママとお話しするために待ってたんだね。


とっても綺麗な顔だよ。

体もしっかりしてそう。

本当にトリソミーなのかな。

こんなに綺麗なのに

私の選択は間違ってたんじゃないかな。

ごめんね。

ごめんね。


お話したかったな。

目が開いたところを見たかったな。

大好きだよ。



お話ししながら

お見舞いに来た父親に買ってきてもらっていたお花をハサミで切って

花の部分だけにして

洋服の上に敷き詰めていく。




それから大きく息を吸うかのような首の動きをしたので

あぁもうこれで最後かな。と思い




涙がいっぱいついた手で彼女の頬を撫でた。

私の手が濡れていれば張り付かない。


体は冷やされていたみたいで冷たかった。



お花をいっぱい敷き詰めた棺桶



いのりちゃん

とっても可愛いよ。

大好きだよ。


また会おうね。

声は届いてるかな。



おやすみ



ゆっくりおやすみ。





名残惜しいけど

またコットンを顔の上に乗せてフタをして

ナースコールをした。



お別れ

終わりました。お願いします。