2017/08/11 19:27

 

今日は甲子園の決勝戦

 

彼は冷えた缶ビール片手にテレビに釘付けである

 

母校の野球部が久しぶりの甲子園での活躍

 

監督はチームメイトで特に仲のいい奴だ

 

マスメディアが彼の偉業を褒め称える

 

母校の大活躍 後輩達の活躍 嬉しくないはずがない

 

前の晩 監督であるチームメイトに激励のメールも出した

 

ついに優勝である 

 

奴が母校の優勝監督 

 

長男は複雑な心境だ 

 

妻は留守である 二人はいつもすれ違い 

 

妻は陶磁器づくりに御熱心の用だ 何日も家には戻って来ない

 

彼はまだ隠居する年ではない 交際している女性がいる

 

離婚したばかりの子連れの彼女だ

 

彼女は美人な小児科の女医 子供はもうすぐ中学

 

医者同士の結婚であったが仕事柄すれ違いの毎日

 

彼女が先に離婚を言いだし 子供も彼女が引き取る

 

ふとしたところで二人は出会った

 

彼女はスポーツマンタイプの長男にゾッコン 

 

「ねえ 息子野球してるの 教えてくれないかしら 」

 

彼女は彼が子供に興味ある事を察して彼に近づく

 

2人は自然に結ばれた

 

妻の留守の日はいつも彼女と逢引き

 

昨夜の女医の言葉が彼の脳裏に何度も蘇る

 

貴方の奥さん不妊なのよ あきらめて 

 

私が貴方の息子 産んで見せる

 

今すぐ奥さんと別れて結婚してほしい

 

女医は本気である

 

彼は決心した

 

妻に電話で離婚を告げる

 

周囲は猛反発 彼の意思は固い 

 

妻も根負けして離婚に同意する

 

ローンで組んだマンションは精算したら赤字であった

 

手元の預貯金はすべて妻の慰謝料に消えた

 

彼は裸同然で女医と結ばれた

 

義理の息子とも相性は良かった

 

息子も本気出して野球の練習に励む

 

半年が過ぎても

 

女医のお腹は彼の期待通りにならなかった

 

どうやら不妊の原因は妻で無かったらしい

 

彼は落胆したが

 

振り返りはせず真っ直ぐ進んだ