今まで、あえて触れてこなかったことですが・・・
いや、この事件がなければ、触れないでおこうと決めていたこと、と言った方が正確かも知れません。
私は、長い市役所経験の中、事務職としては、ちょっと特殊な職場で11年間働いていました。
ひとつは、アルコール依存症者の社会復帰中間施設、もうひとつは、児童養護施設です。
それぞれ、5年と6年、生活指導員として、勤務していました。
本来、こういった仕事に就くのは、大学で福祉を学び、福祉職員として採用された職員であり、私のような事務職員にこのような仕事をさせる市町村は、まあないと思います。
しかも、アルコール依存症については、まだまだ、世間に正しく理解されておらず、どこかで、私たちのような専門機関に関わらないと、社会復帰は相当難しく、入退院を繰り返し、体は傷つき、仕事を失い、家族を失い、全てを失ってしまいます。
全国アルコール関連問題学会の幹事もしたことがあります。
この業界は、結構世界が狭く、毎年、学会に参加していましたが、大体いつも同じメンバーです。(規模は、数百人と大きいです)
アルコール依存症専門病院は、まだまだ少ないです。
アルコール依存症者の社会復帰中間施設は、当時、東京にひとつ、大阪にふたつあるだけで、公立は私が勤めていた施設のみでした。
そこも、今は民営化されました。
山口達也さんは、お酒の問題で、1か月ほど入院していた、と今日の記者会見で話していました。
彼は、「肝臓の数値が悪かったための入院で、アルコール依存症ではない。」と言い切っていました。
ここに悲劇があります。
アルコール依存症からの社会復帰の最初のステップは、この病気について正しく理解し、自分がその病気であることを認め、受け入れることだからです。
この病気の人は、一生お酒を飲まない、という選択を毎日しなければなりません。
グラス一杯飲んだだけで、連続飲酒が始まり、酩酊状態になり、今回のような事件を起こしてしまうのです。
下り坂をブレーキがない車で走るようなものです。
彼らは、一旦飲むと、酒量をコントロールできないのです。
そのため、最初の一杯に手を付けないことが、一番重要なのです。
彼は、甘かった、と言ってましたし、コメンテーターも意志の弱さ、を指摘していました。
確かに、最初の一杯に手を出すかどうか、は意志の問題かも知れませんが、一度飲み始めたら、いくら意志が強くても、飲酒を止められないのです。
そういう病気なのです。
意思で止められるのなら、病気ではありません。
彼は、退院した日の昼間から焼酎を飲み始め、夜には酩酊状態になっていたといいます。
これは、残念ながら、彼らの特徴です。
テレビのコメンテーターは、女子高生と知りながら、とか、酒を飲ませたかどうかとか、普段はいい人なのに、とか、的外れなことばかり言っています。
彼は、誠実に答えていますよ。
酩酊状態で覚えてないんですよ。
アルコール依存症とは、そういう病気なのです。
私は、数百人のアルコール依存症者の支援をして参りました。
ほとんどのアルコール依存症者は、酒さえ飲まなければ、いい人です。彼が、その典型です。
彼に今必要なのは、「アルコール依存症専門病院に入院し、病気について学び、(ここが一番難しいのですが)自分がその病気であることを認め、酒を一生飲まないことを誓い、それを実行するために、断酒会に毎日通うこと、です。
彼の気持ちを本当に分かってくれるのは、医師ではない、看護師でもない、カウンセラーでもない、同じ苦しみを持つアルコール依存症者だけなのです。
断酒会は、全国断酒会連盟下、各支部が各市町村にあります。
週一回ですが、近隣の市町村を回れば、毎晩どこかでやっています。
午後7時から9時、一番飲酒欲求が高まる時間帯に、仲間と共に、酒のない空間で集い、毎晩、自分が今まで酒でいかに失敗してきたか、いかに家族に、他人に、迷惑をかけてきたか、を忘れないために、体験談を語り、仲間の体験談を聴き、問題を共有するのです。
そして、最後に全員で、断酒の誓いを読み上げます。
それを繰り返すことによって、飲酒仲間と離れ、断酒仲間を増やし、新しい人間関係を構築していくのです。
彼は、事件後、今日まで、連続飲酒にならず、ちゃんと仕事をこなしています。
これは、まだ、初期の段階です。
末期であれば、今頃、酒が止まらず再入院してるか、仕事に穴をあけてるか、または、今日のような記者会見という大事なイベントの前に限って、飲酒してしまうのです。
この段階から、軌道修正すれば、まだお金もあるだろうし、第2の人生を歩むことができます。
しかし、大抵の人は、「前は失敗したけど、今度こそセーブして上手く飲もう」と思ってしまうのです。
実際、彼は言ってました。
「肝臓の数値も良くなったので、飲んでもいいかなと思って飲んだ」と。
みんなそう言うのです。
私は、散々見てきました。
残念ながら、1か月の入院は、体を治すだけで、病気に関する教育は、受けてなかったようです。
アルコール依存症専門病院ではなかったのでしょう。
もしくは、アルコール依存症専門を語りながら、全然わかってない病院だったか、のどちらかでしょう。
専門病院なら、そんな状態で退院させません。
彼は、今、自分をとことん責めていることでしょう。
自己憐憫に陥ってることでしょう。
これも、アルコール依存症者の特徴なのです。
私は、病気を憎んで、人は憎まずです。
彼を中傷しようという記事ではありません。
誰か、彼を助けてあげて欲しいです。
助けてあげられるのは、家族か、TOKIOのメンバーだけかもしれません。
アルコール依存症専門病院に入院するべきです。
関東であれば、横浜市、横須賀にある、久里浜医療センターが、昔から有名です。
TOKIOのメンバーに伝えてあげたいです。