ヤクザ店長
近所のスーパーの店長は一見するとヤクザさんだ。スーパーの店長とは思えない、角にハエが刺さりそうなメガネ、三角定規を当てたように剃り上げた眉毛、憎いまでのオールバック、黒人ボーディーガードのような体系。
メガネの奥の目つきが普通の人間の目じゃない。
外人にヤクザを紹介するときに、あの店長を指差したい。
「ヒー イズ ア トラディショナル ジャパニーズ ヤクザ」
「"カンブ" クラス」
中川家の弟にヤクザホルモン足したようなあんな店長いたら、高校生とか怖くて万引き出来ない。
見付かった日には、
「なに、お買い得助六390円をパクろうとしてんじゃああああ。アホが、来週には"広告の品"として290円になるのにのう。おい、若いの、絞めたれや。」
これでは万引きしたほうが「警察呼んで下さい。」と声を挙げてしまうだろう。
ヤクザ店長、経理も一喝。
「無理です、店長!その値は無茶です!」
「あかん!薄利多売でもかまへん。”おーい お茶”一本20円で掴み放題するで!」
商品にも難クセ。
「豚肩ロース 100g 68円?あほんだらぁー、肩とは言わず足も付けたらんかい!豚片足ロースに変更や!」
やばいね、ヤクザ店長のキャラが自分の中で一人立ちしてる。これは片思いに近いかも。
では、ここで一曲。
-ヤクザ店長- 作詞:作曲:leolio
一番
「♪振り上げた拳は お客様のため♪
♪万引きには怒りの鉄槌を~ 全部脱ぎさらせ♪
♪賞味期限の改ざん 許さねえ♪
♪安い卸値大好きさ タイムサービス生きがいさ♪
♪パート教育 バイト教育 お手の物♪
♪レジにこびりついた血の跡が 明日の蓄え 糧となる♪
♪半額シールを貼るのは 俺の役目♪
♪買い物袋持参にはスタンプ押せ押せ 背中も押せ♪
♪今日もお客様と はあああとふるこみゅにけぇ~しょん♪
♪いらっしゃいませ♪
♪893 893 893 店長♪
♪893 893 893 グレート店長♪
<セリフ>
今日は8931(白菜)が安いよ、奥さん、こんばんは鍋だね~
♪メガネの奥が人殺し♪」
- 著者: 宮本 照夫
- タイトル: それでもヤクザはやってくる―暴力団vs飲食店経営者のあくなき闘い