6.25金曜日
別れを切り出されてから4日が経った。
お互いこの話題を避けて1ヶ月過ごしてたから変な空気であまり話せなかったけど、
逆に別れてからは少し前みたく話せるようになったようで嬉しかった。
今日はササミが余っていたのでチーズと一緒に焼いた。
淡白なササミをどうにか美味しくしたくて塩とニンニクで漬け込んでおいたら、これがなかなか美味しかった。
向こうも気に入ったようで「これはどうやって作ったの?」って聞いてきた。
私は料理が得意で、あの人は私がつくるご飯が大好きだった。
だから昔からよく「すごいね!天才だよ!どうやって作ったの?」って聞いてきてくれたんだけど。
今のそれは【君がいなくなっても作れるように教えてほしい】という職人の技術伝承みたいなもの。
彼の未来に、当たり前のように私がいないことにとても寂しくなる。
そう聞かれることで、私が自分の不在に対して悲しく思うということに、気づいてもらえないことも。
実は昨日も同じことがあった。
今までは自慢げにコツを教えたりしていたんだけど、昨日もやっぱりそう聞かれることが悲しくて、(私がいなくなったらこの味は食べられないんだぜ?)ってせこいことを考え、教えないようにしようと思ってた、昨日までは。
あの人から我が物顔で教えてもらった「私の料理」を、違う女が作るかと思うと悲しすぎるから。
だから教えたくないと思った、昨日までは。
でも、今日改めて考えてみて、
料理という形でだけでも覚えていてくれるのなら、それはそれでいいのかもしれないと思った。
あの人は忘れっぽいから、きっと私のことなんてすぐ忘れてしまう。
今までの彼女たちのように。
味覚でだけでも私の居場所があるなら、それはすごく嬉しいことのような気がして、レシピでも綴って置いていこうかなと思った。
「わたしのこと わすれないで」って
ラテ欄読みで、あいうえお作文みたくして。
*
23時頃。
洗い物をお風呂前にやろうと放置していたら、
あの人がやりだした。
私は今、食事周りのことにアイデンティティというか居場所を見出しているので、
(申し訳なさと)アイデンティティを守るために代わろうとしたら、
「いいよいいよ」と断られた。
それでも代わろうとしたら、
なんだかとても変な雰囲気になったのでお願いした。
正直嫌な予感しかしなかった。
そうしたら案の定、終わった後に言われた。
「いつ出て行く準備始めるの?」
前述の通り少し良くなったと思えた関係に、
愚かな私はほんの少しだけ、本当にほんの少しだけ、復縁の希望を見出していたので、
頭を打たれた気分になった。
きっと私が洗い物にしがみついたことがいけなかったんだと思う。
私のアイデンティティが食周りにあって、そこに居場所を見つけられてなんだかんだで居座られたら困ると思ったんだろうな。
悲しいことにあの人のことは世界で一番わかってるんだ。
こうなるような気がしていたものの、あまりにも思った通りに話が流れてびっくりした。
そして、わかっていたもののショックは大きい。
ショック過ぎるとなぜか全くよくわからないことを考えてトリップしてしまうので、
(え、この一連のストーリーって私が書いたっけ?作者私??なにこれ?ラノベ?二次創作?)
みたいな、本当にくだらないことを考えながら
「あ…うん、7月に…なったらかな」
と答えてた。
ていうか私が筋書き書くならハピエンにするわ!!!バーロー!!!!!
そんなこんなで今日は気まずい感じで終了。
今回こういう感じで居心地の悪さを作り出すことに成功したので、成功体験を繰り返すってやつでこれからはこういう気まずさをじゃんじゃん出していって、私を3ヶ月待たずに追い出すんだろうな。
私はシナリオライターではないけど、そんな次回予告が見える。
次回お楽しみに!!全く楽しみじゃないけどな!
てことで、ここまでお読みくださりありがとうございました。
別れを告げられてからの3日間は記憶喪失気味なので、思い出しながら書くことはできないかもしれないけど
(記憶喪失なのに気づいたら推しの写真はちゃんと保存されてるし、ネットショッピングでいろいろ買ってるのが怖いところ)
私たちのなれそめや、どうして別れるに至ったかとかは追々書いて行けたらいいなと思います。
ご覧頂きありがとうございました。
喪失する女