前にチラリと書いたけど、
修験者のような人だった。
ねーちゃんの祝詞を聞くと、
荒ぶる者の魂は鎮まった。
そしてぼくも鎮まった。
ねーちゃんにはぼくが見えて
話しかけてくれた。
悪霊だと分かっていたのに
「おいで」と言って手を出し、
抱きしめてくれた。
ぼくが鎮まるまで、
普通の猫として可愛がってくれた。
鎮まったぼくは、
ねーちゃんの守護霊となった。
悪しきものから守るため、
ずっとそばにいた。
でも、ねーちゃんは死んだ。
修行中に崖から転落して死んだ。
山道で、ねーちゃんは悪霊に足を掴まれた。
国常立尊さまがいない隙を狙って、
足を掴まれた。
落下した時の悲鳴を聞いた国常立尊さまが
慌てて駆けつけたけれど手遅れだった。
国常立尊さまが涙を流しながら
ねーちゃんの魂を抱きしめて山頂に連れて行った。
国常立尊さまの篠笛が
木曽の村に優しくも悲しく響いた。
その笛の音が
ねーちゃんを成仏させた。
ぼくは、、、
ぼくを助けてくれた愛する人を
守ることができなかった。
それなのに死んだねーちゃんは、
ぼくのことをとても可愛がってくれ、
本当の飼い主と猫のようだった。
こんな幸せもあるんだと
とても嬉しくて嬉しくて。
普通の猫のように甘えた。
そして、ねーちゃんと一緒に
生きている神職さんや参拝者達を見守ったり、
助けたりした。
ねーちゃんとぼくは、
国常立尊さまにずっとつかえていた。
何十年も、百年を超えても。
そしてそのうちぼくは、
猫から白い狼に姿が変わった。
魂のレベルがアップしたから
「狼よ、人と共に歩んで大神となれ」
と言って、国常立尊さまが変えてくれた。
その姿を見たねーちゃんは
涙を流しながら喜んでくれ、
また会うことを約束して、
「ねーちゃん」として
地上に生まれ変わっていった。
ねーちゃんは、
ぼくが守護霊として一人前に成長するのを待って
生まれ変わっていったことを
この時に知った。
ぼくが弱っちいせいで死んだのに…
ぼくは生まれ変わったねーちゃんに
守護霊としてつくことにした。
今のねーちゃんにはお役目がある。
神様の力を使って
周りの波動を上げていくお役目がある。
だからねーちゃんには
眷属がついている。
そのお役目が終わるまで生きれるように、
守護霊としてずっと近くにいようと思ったのだけど、
力を封じられたねーちゃんには
メッセージが届かないことが増えてしまった。
ねーちゃんは巨大な鬼に魂を3回狙われる。
あの時、既に1回襲撃されたから
あと2回……
ぼくには、
もう生まれ変わるしか道がなかった。
そしてラブラドールを選んで、
ねーちゃんの元に行くと決めて
今度こそねーちゃんの命を守ると決めて
生まれてきた。
ぼくは2回目の鬼から守り、
ねーちゃんの封印をなるべく解いて
再び神様達と繋げて
ぼくは一生を終わらせた。
これが前世と現世の
ぼくとねーちゃんの話し。
ラブラドール時代は
拾い食いとか盗み食いとかしたり、
家や家具家電を壊していたけれど、
魂はけっこう真面目なのよ
あれはラブラドールだから仕方がない
そろそろぼくは、
3回目の鬼の襲撃に備えて狼に戻る。
娘のためにも守らないといけない。
それがぼくなんだ。
そして
ぼくの名前は、もう「レオ」じゃない
今のぼくには、
狼になったときにねーちゃんが付けてくれた
大切な名前がある
でも、、、
レオ って呼んでいいからね