昨日は
安城は穏やかなとてもいいお天気だった。
梅の花も咲いて
つくしんぼうも顔をのぞかせて。
よく使うタクシーの会社に
同郷の人がいる。
ここのところは
ずっと無線の担当だ。
昨夜も
夫と食事をして
本社からタクシーに乗ろうと
受付にいったら、
やっぱり 彼が無線の担当だった。
車を待つ間
彼が話しかけてくる。
「安城はあったかいですね。
仙台では考えられないあたたかさですね。」
☆☆☆
そう、仙台は寒い。
あの日も夕方から雪になった。
私はテレビの映像を見て泣き、
彼は 矢も盾もたまらず、
自分の車に 灯油とミルクを積んで
仙台へとむかったのだ。
私の実家は、仙台から茨城へと引っ越したけど、
彼の家族は、仙台にいた。
息子さんと生まれたばかりのお孫さんが、
「荒浜」に住んでいたのだ。
☆☆☆
「仙台は寒いよね。4月になっても
雪が降ったりしてね。」
と
答える私の頭の中を
そんなことがぐるぐると駆け巡る。
☆☆☆
彼はあれから 何度も何度も週末ごとに
息子さん夫婦とお孫さんを探しにいったのだ。
「どっかの避難所にいるかもしんねぇからさ、
一つ一つ尋ねてあるいてるんだ。」
最初の頃はそういって。
後からは多分
「安置所」を探して。
そうしているうちに
彼はだんだん無口になっていって、
とうとうタクシーには乗らなくなった。
そして、
私も、
自分が 彼にとって辛いことを
思い出させる 存在になってしまったのではないだろうか、
と思うと、彼に会ってもうまく話せなくなってしまった。
☆☆☆
昨夜は
珍しく彼から話しかけてきた。
でも
だめだ。
天気の話をしても、
やっぱり
あの日のことを
思い出してしまう。
雪が降った
あの日。
3月なのに
とてもとても寒かったあの日、
それからの日々。
