舌に発生した腫瘤を主訴に、4歳齢のマルチーズが来院した。


ペットの「がん」 ―レオどうぶつ病院腫瘍科―-全身像

腫瘤は舌右側表面、先端より1cmの位置にあり、腫瘤の突出により舌は口の中に戻らない状態であった。



ペットの「がん」 ―レオどうぶつ病院腫瘍科―-局所
食欲はあるが食べにくく、カリフラワー状の腫瘤表面からは時々出血するとのことであった。

その他、一般状態は良好であった。

舌に発生した悪性腫瘍の可能性も疑い各種検査を行った。

検査の結果、転移を疑う所見はなく、診断と治療を兼ねた外科切除生検を行った。


ペットの「がん」 ―レオどうぶつ病院腫瘍科―-基部
ペットの「がん」 ―レオどうぶつ病院腫瘍科―-舌裏

腫瘤は有茎状であり付着部は小さかったが舌の裏側の粘膜面に固着が認められたため、舌の一部をくり抜いて切除することにした。


ペットの「がん」 ―レオどうぶつ病院腫瘍科―-レーザーメス

舌は出血の予想される部位だが半導体レーザーメスの使用により、ほとんど出血もなく切除が可能であった。


ペットの「がん」 ―レオどうぶつ病院腫瘍科―-切除

吸収糸にて縫合し、手術は終了した。


ペットの「がん」 ―レオどうぶつ病院腫瘍科―-縫合

麻酔からの覚醒後、舌の動きは良好。

ずっと出っぱなしだった舌も口の中に納まるようになった。

痛みは軽微で回復も早く翌日退院となった。


ペットの「がん」 ―レオどうぶつ病院腫瘍科―-覚醒

術後病理検査の結果は非上皮系細胞の増殖からなるものの、

各種特殊検査からも腫瘍を特定する所見は得られなかった。


帰宅後より、食べこぼしもなく上手に食べるようになり体重も増加した。

手術から約2ヵ月が経過する現在、再発もなく良好な経過を得ている。