腫瘍を診断するには各種の検査が必要です。
それら検査のひとつである｢細胞診｣では、腫瘍から細胞を採取して顕微鏡で観察
します。
気になるしこりから、直接細い針により細胞を吸引する｢針生検｣がよく行われる方法です。
一番の目的はそのしこりが悪そうなものか判定することにあります。
しこりができるのは「がん」だけではなく、炎症なども多いのです。
悪性腫瘍（がん）なのか、良性腫瘍なのか、腫瘍ではないのかによって治療法が大きく違いますので調べることには意義があるのです。
悪性腫瘍が疑われる場合、様子を見ている間に進行してしまいますし、腫瘍でないのにいきなり手術で大きく取るのも負担がかかりますので、先に細胞診をするのです。
細胞診では組織の中の細胞がバラバラに取れてきますので、細胞の特徴を読み取るのです。
一部の腫瘍では特徴的な細胞が見られるために、ある程度細胞診で腫瘍の名前が予測できることがあります。
（特徴的な細胞を持つ腫瘍：リンパ腫、肥満細胞腫、悪性黒色腫、組織球腫、など）
特に肥満細胞腫は皮膚にできた他の腫瘍と手術の方法が違ってきますので、術前に鑑別することは非常に重要です。
しかし、特徴がはっきり出ていない（顆粒が少ない肥満細胞腫や黒色腫、小細胞型リンパ腫等）場合、判定できないこともあり、必要ならばもう少し大きな組織を採取(コア生検)して外部検査機関に依頼することもあります。
腫瘍の種類により治療法は変わらない場合には、腫瘍の名前の確定は手術後の病理検査で行うこともあります。
細胞診も万能な検査ではなく過信は禁物です。ひとつの検査として考え、各種検査結果と総合判断することが大切です。