松下さん
松下さんとは中学校２年生の時の同級生でした。
この松下さんは前髪は額を覆うようにしてショートカットにして、性格もとても活発な女でした。
ですから、１年生から２年生にクラス替えが終わって、クラスメイトにどんな人たちがいるのか
見て回っていたようなのです。
ですから、当然のことながら私のところにも来たのですがノートに書いてあった私の字を見て
「わぁー、綺麗な字」と言ってくれたかと思ったら「ねえ、私のノートにも名前を書いてくれる」と
言うのです。小学校から学校生活を続けて来ましたが、勿論、こんなことは初めてのことです。
松下さんは暫くして自分のノートを私のところに持って来ました。
ここまで来たら書かない訳には行きませんから名前の漢字をちゃんと教えてもらって間違えの
ないように書きました。
私が名前を書き終えて「はい、これで良いかな」と言って渡したら満足してくれたようで、再び、
「わぁー綺麗、ありがとう」と言って喜んでくれました。
勿論、他の人の持ち物などに名前を書いたりしたのは後にも先にも、この時だけでしたね。
ですから、私には松下さんはユニークな女だなと言う思いもありました。
また、ある時には私を含めてクラスの何人かで放課後に電車に乗って隣の駅の公園などに
遊びに行ったりしたこともありました。それだけ、行動力もあったのです。
そんなユニークで行動力のある松下さんでしたが、行動力がある故にちょっとした問題など
とかもあったのです。
以前に、ここでは詳しい話が出来ない男子転校生が入って来たということを書いたこととか
覚えて下さっていますでしょうか。そして、その男子転校生は私が班長を務める班に属して
いましたが授業中に他の班に属していた松下さんとノートの端切れに何かを書いたものを
授業中のクラスメイトに手伝ってもらって文通のようなことをしていたようなのです。
何故、こうしたことが分ったかというと、この男子転校生が転校して来た時から先生たちは
神経を尖らせていたようで、担任の先生とも定期的に各班の班長が普段より早く登校して
会議を何度も行っていました。ですから、どんな些細なことも報告が先生の方に入りました。
なので、私たち班長は男子転校生と松下さんが授業中にメモの受け渡しなどを行なわない
ようにとか、その他の授業中の態度などを徹底して監視するのも仕事の一つでした。
幸いにも松下さんとのメモのやり取り以外は大きな問題はなく２年生の時は終わりました。
この「２年生の時は終わりました」とはどういうことかというと私は３年生でも同じクラスとなり
同じ班で私が班長として、この男子生徒と一緒になったのでした。
話が松下さんのことから脱線してしまいましたが、逆に言うと、それだけいろいろなことへの
積極的な行動力と好奇心があったということなのでしょうね。
松下さん、ノートに名前を書いて欲しいと言われた時は驚きましたが良い意味の積極性は
私たちを明るくしてくれて本当に嬉しものがありました。
ただ、授業中に皆を巻き込んで迷惑をかけたりすることは辞めましょうね。（班長より）
ユニークで行動力のある松下さんには、私からの２曲を送りたいと思います。
