自分が、いままさに死にゆかんとしていることを知らないままに
 死んでいく人間などいないと、僕は思う。
 そうでなければ、
 人間が死ぬ必要などどこにもないではないか。
 人間は、そのことを思い知るために、死んでいくのだ。

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星々の悲しみ
星々の悲しみ
posted with 簡単リンクくん at 2005.12.13
宮本 輝著
文芸春秋 (1984.8)
通常2-3日以内に発送します。

 出版社/著者からの内容紹介
  喫茶店の壁から、
  夭折の画家がかいた「星々のかなしみ」を盗み出す若者など
  人生のあかしを求めて劇しく生きる青春群像を、
  深い洞察であざやかに描いた傑作短篇集。

 本の概要
  喫茶店の壁にかかっていた一枚の絵「星々の悲しみ」。
  この薄命の画家の作品を盗み出し、
  ひとり眺め入る若者を描く表題作のほか、
  不思議なエネルギーをもつ輝かしい闇の時代・青春のさなかに、
  生きているあかしを、はげしく求める群像を、
  深い洞察と巧みな物語展開で、みごとに描いた傑作短編集。

 読んだ感想
  戸隠が一番好きなのは、表題作の「星々の悲しみ」。
  これは若者の青春を書いた話なんだけど、
  いやぁ、これがホント上手くできてると思う。
  青春って、
  複雑な心境の具合いやらなんやらがいろいろあって、
  説明するのも、一言で言い表すのも難しいんだよね。
  (言い切ることなんて出来るかしらん??)
  自分のことでたとえれば。
  ちょっとしたことで浮いたり沈んだり、
  何気ないキッカケで別人のように変わったり。また、逆もあり。
  いろんな事柄に遭遇するたび、いろんな疑問が尽きることなく湧き上がり、
  答えを出そうと必死になっていたような。
  矛盾した大人の言い分を割り切れない純粋な思いでモンモンとしたりネ.。
  子供から大人になるって、成長するのは身体だけじゃない。
  問題は精神。だからみんな苦しむんだよね。  
  ま、幸い。
  もともとパーな戸隠は、生きるはかなさとか、むなしさなどを覚えることなく、
  むしろゴキブリのように生きておりますけどね(笑)。
  しかし。
  青春を経験したものとして、
  成長の過程で苦しんでいる若者とか青春小説とかを見ると、
  自分のことを思い出して、くさい言い方だけど胸の奥がキューンとなる。
  (韓国ドラマとかね。ぶはっ)
  
  若いパワーで純粋な思いに沿って行動する
  悩める若者たちの青春を描いた『星々の悲しみ』。素敵な話だ。うむ。

 この本との出合いは高校生。
  現国の教科書に載っていたんだよね。
  にもかかわらず、これを習うことはなかったんだけども。
  とにかく。
  入れ歯も合わんようなでフガフガで自分の世界に浸るジーさん先生の、
  退屈な授業中、ずぅ~~っと、毎回この話を読んでいた記憶があり、
  卒業してからも事ある毎に読み返しているんだよね。
  かといって、内容を暗記できるほど覚えているワケじゃあない。
  読むたびに「いいなぁ~(* ̄∇ ̄*) ポ」、とやっているのだよ(アホ)。

 今回、思い出したきっかけ話。
  こないだ、近所のホームセンターに行ったら、
  その並びに新しくコーヒーショップができていた。
  コーヒーどぅわい好きの戸隠がそのまま素通りできるハズもなく、
  -ドリップコーヒー一杯160円-の看板に誘われるがまま、
  下のチビを片手にヨロヨロをショップに入ったのであ~る。
  一杯160円! なんちゅう安さ(ブルッ○スじゃあないよ。ぶは)。
  こりゃあんまり期待しはいかん哉、と思っていただけに
  出てきたコーヒーは、やたらに美味かった。
  これはブレンドか、ちょっと濃い目でいいカホリ…た、たまらん(白目)。
  などと、一人ホゲホゲやっておったら、
  ふと、目の前の壁にかかっていた一枚の絵が目に留まった。
  明るい色の風景画で-外国やろうね-農家の家が描かれていた。
  その農家は、前面に広がる池の水面に対照的に映し出しだされ、
  屋根には、覆いかぶさるほど立派な木が、
  これまたよく茂った枝と葉の陰影を落としていた。
  綺麗な絵で、たぶんよく聞くような有名な画家じゃないと思うけど、
  とにかく。
  戸隠が気に入ったのは、その絵の空に浮かんでいた『雲』。
  何が良かったかって、その質感、雲のもくもく感だけじゃなく、色とか形とか、

  ああ、そう、雲ってこんな感じなんだよねぇ。見たことあるよ、この雲。

  ってジーンとして、作者も自分と同じような雲を見たのかなぁ、
  なんて変な親近感持っちゃたりしてねぇ。
  なんか妙に悦に入ってしまって、とてもとっても気に入ってしまったのだ。
 
 そこで思い出したのが『星々の悲しみ』。
  この話に出てくる喫茶店「じゃこう」にかかっている、
  上記したけど『星々の悲しみ』と題された一枚の絵画。
  これを主人公が盗んでしまうという話が、
  そのときの戸隠の状況が、どことなく似ているような気がした。
  あれ? こういう話ってどっかで見たなぁ???
  という感じで思い出した。主人公と違うところは、
  「自分だったら上手く盗めるかしらん??」
  と思う、純粋に欲しいなぁという気持ちを通り越して、
  盗むというスリルのほうを優先に考えてしまうところが、
  なんか腐れた大人の考えだと気づいて自己嫌悪。
  
 ちなみに。
  そのやたらに美味しく感じたコーヒーのお店。
  あの絵の季節も気になったし-たぶん春だと思うけど-、
  店内に漂ってきたカレーのニホイもたまらんかったし、
  またヒマがあるときはランチにでも行こうと決めた。
  しかし。
  子供と2人でランチ…友達がいないだけだったりして。アイタタタ。
  そこはあんまり突っ込まないように、お頼みもぉ~~す。
  自称、美食倶楽部コーヒー部イメージモデル、戸隠かれん。
  ……む、むなしい(汗)