●香港で。


2009年11月の記事、
「あの日の予感…」の続きです。


~*~*~


父のいる病室へ続く廊下。
会うのが恐かった。

「絶対に泣いたらあかんよ」

と母に言われていたのだけれど…

父を見るなり、泣いてしまった。

「会いに来てくれたんか」
言葉もはっきりしない。

顔つきも変わっていた。

泣きじゃくった私は看護師さんに連れられて別室へ。

今思えば一番泣きたかったのは父であり母だったろう。

でも父は

「会いにきてくれてありがとうな」

それから20年…

もう父はいないけれど…

父が天国へ旅立つ日、

なぜかその時もわかってしまったのです。

今日で父とお別れだなって。

その日も父はこう言いました。

「今までありがとうな」

そして父は本当に旅立ちました…

介護、色んな事がありました。

でも本当に辛かったのは父だった。

なのに…最後の最後まで優しかった。

父の好きな色は赤。

殆どベットの上の生活で、口数も多くなかった父が

たまに私が飾った花、それも赤い花を見ると

「キレイやな~」

これが私のカラーの勉強の原点だったかもしれません。