※この記事は僕の自作小説の三話目になっております。 小説の紹介についてはこちら
一話: 駄文1
二話:駄文2
そして、まだ続きます。 次回更新は未定です(笑)
※もし誤字脱字など見つけたらコメントなどで教えてください;;
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次の日、僕は寝坊した。
あの後、延々と結城の女性観を聞かされる羽目になったからだ。
幸いにも結城が気を利かせて代返をしておいてくれたということなので、焦ることもなく午後からゆっくりと登校できることになったのだが。
登校してすぐ学食へ行くと、既に結城と安藤は昼食を済ませたようで、二人で談笑している姿が目に入った。
「だよなー。
あ、隼人じゃん。お前遅えよー!お前がいない間に俺と千恵ちゃんがどうにかなっちゃってたらどうすんだよー」
入口から真正面に座っている結城が話途中でこちらに気づき、大声で聞き捨てならないことを言う。
「どうにもならないよ・・・」
小さな声でぽつりと呟いてから結城と向かい合う形で座っていた安藤がこちらを振り返る。
「おはよう。来てくれてよかった」
そう言って安藤が軽く笑った。
結城の軽口にはいつも冷や冷やさせられるが、そんなことに構っている余裕はなかった。
昨晩の話のせいで安藤を変に意識してしまい、屈託のない笑顔を向けられると妙にどぎまぎとしてしまう。
安藤に適当な挨拶を返し、結城の隣に腰掛けようとしたところで結城が口を開いた。
「もうおはようの時間じゃないけどな。寝坊したってことはどうせあの後朝までAVでも観てたんだろー? 今度俺にも回せよなー」
結城は僕の方を見ながらにやにや笑っている。
僕は結城の思わぬ言葉に絶句する。
こいつ、一体どういうつもりだ。
昨晩、自分で自分のことを恋のキューピッド様と言っていたにも関わらず、安藤からの評価を下げるような事を言うなんて。
キューピッドどころか、僕には結城の笑顔が悪魔の微笑みにしか見えなかった。
動揺しつつも精一杯頭を回転させ、結城に反論しかけたところで、安藤が顔を真っ赤にしながら呟いた。
「そういう話は、私のいないところで、して、欲しいな」
「あ、ああ。ごめん」
僕は全然悪いことはしていないのにも拘らず、いたたまれない気持ちになり、つい謝ってしまう。
原因を作った張本人はというと、いかにも楽しそうに腹を抱えていた。
気まずい空気の中、安藤がおずおずと顔を上げた。
「ねえ、隼人君。さっき大輔君から聞いたんだけど、明日二人で映画見に行く予定だったんだって?もしよかったらだけど、行ってもいいかな?」
「え?」
突然の話に自分でも驚くほど間抜けな声が出た。
すると安藤は悪い方に勘違いしたらしく、元々小さい声をさらに小さくして早口で捲し立てる。
「あ、あの、嫌だったら断ってくれていいの。ただ、ああいう映画って観る人選ぶじゃない?私、昔から映画の趣味が周りと合わなくてそれで、もし行く人がいるなら一緒に連れてってもらおうと思っただけなの。あと、大輔君が他の映画観るなら隼人君一人になっちゃうし、なんだか可哀想だし。それに、あの・・・」
言い終わる頃には顔を先ほどよりもさらに真っ赤にし、もごもごと口を動かしているだけになってしまった。
いつもの安藤からは想像がつかないほどの慌てっぷりだ。
安藤の普段と違う顔を見れたことで、僕の顔は自然とほころんでいた。
そこでやっとこの場所にはもう一人いたことを思い出し、そちらを見やるとここまで二人の様子を静観していた結城がにやにやしながら口を開いた。
「俺は友達と他の映画観ることになってるんだけど、同じ映画館行くんだし丁度いいから4人で遊ぼうぜ」
安藤は大輔の言葉で我を取り戻したらしく、少しどぎまぎとしながらもほぼいつもの調子を取り戻していた。
「ありがとう。隼人君、どうかな?」
もちろん、と答えようとした瞬間、結城が先に答える。
「こんなやつの意見は聞く必要なし! もう決定。 じゃあ、千恵ちゃんは12時に駅で」
「え?本当にいいの? じゃあ・・・明日はよろしくね」
安藤は少し照れくさそうに笑いながら、集合場所と時間を手帳にメモしていく。
その様子を見て結城は、満足そうに頷いた後、ちらりとこちらに目配せする。
僕は、この後結城に何かを奢ることになるだろうと冷静に考えながらも、既に明日の映画が待ち遠しくてたまらなくなっていた。
結城様。
本当にありがとうございます。