2022年水無月のつごもりになろうかというこの時期。私が暮らす街でも梅雨が明けてしまいそうです。
都会では四季が四季らしく感じられなくなってきたような、そんな気がします。
そんな夏本番がいつもよりも少し早くやってきそうなこの時期にChageさんが動き始めます。
7月6日に新曲の「そういうひと」が配信されます。
ちなみにこのブログ執筆時においてはまだ各メディアでもまだ解禁されていません。ラジオのレギュラー番組「Chageの細道」の次の放送回で初めて放送されるそうです。
7月9日(土)・10日(日)には東京の二子玉川で「ずっと細道」の開幕公演。
チケットはすでに完売。一般販売に至っては「秒で」売り切れたそうですね。
私は10日の昼公演に参加予定です。久しぶりの遠征となります。
新曲の感想・分析も7月6日以降にUPするつもりです。ライブに関してはまだまだ続く「ずっと細道」ですので、ネタバレのレポートはしないようにします。
さて、そんなChageさんの新たな動きを待っているこの日に書く内容はちょっとマニアックです。
いや、いつもマニアックやろ? って言われそうですが…。
今日はMULTI MAXの「LOVE」に込められた「遊び心」について書きます。
まずはMULTI MAXの「LOVE」を改めて聴いてみましょう。
「LOVE」はMULTI MAXの3枚目のシングルとして1991年11月6日に発売されました。
ちなみにこの年の7月24日にチャゲアスの「SAY YES」が発売されています。「LOVE」の発売直前の10/28付オリコンシングルチャートまで13週連続で1位を続けていました。
チャゲアスが社会現象化していく中で「LOVE」は発表されたんですね。当時はチャゲアスのコンサートツアーの真っ最中です。MULTI MAXとしてのプロモーション活動はしていなかったはずです(11月だけでも「SAY YES」ツアー13公演をしています)
石油会社のテレビCMに使われたこともありオリコンチャートでは20位前後にずっと居座ってじわじわと売れていました。
Chageさんは「LOVE」についてJohn Lennonの「Beatiful Boy(Daring Boy)」の影響を受けたと以前に語っていました。
チャゲアスの公式サイトにも書いていたような記憶があります。
Aメロの作り方にその影響は顕著です。
「ため息をついて」とメロディーがかけあがり「夢をあきらめる」とメロディーが降りていく部分です。
ジョンの「Beatiful Boy」も聴いてみましょう。
冒頭のメロディーです。
「Close your eyes」とメロデイーがかけあがり「Have no fear」と降りていきます。
ここのメロディーの雰囲気をChageさんが参考にしたのは間違いないでしょう。
その後のさりげなくマイナーに転調するくだりもMULTI MAXの「LOVE」との共通しています。
「Beatiful Boy」はジョンの生前最後のアルバムになった「Double Fantasy」に収録されている楽曲です。
息子のショーン君への思いを歌っています。
ビートルズの相棒だったポール・マッカートニーはジョンのソロ曲で一番好きな歌としてこの歌を挙げています。
いい歌ですね。私も大好きです。
さて、冒頭のメロディーや転調といった共通点以上にアレンジでの遊び心を感じるフレーズがあるんです。
「LOVE」のイントロの最初の印象的なフレーズです。曲の雰囲気を決めている「リフ」のような存在感があるあのフレーズです。
実は「Beatiful Boy」のイントロにも同じフレーズがあるんですよ。ほぼ同じ音階です。
動画の0:08あたりです。下のリンクをクリックするとちょうどその0:08のあたりから再生されますので聴き比べてみてください。
Chagesさんだけでなく村上啓介さんもビートルズが大好きです。
聴き比べるとほぼ同じ音階でしょ? しかも、どちらもイントロの最初のフレーズです。
どちらがアイデアを出したのかはわかりませんが、こういう「わかる人だけわかる音楽的な遊び心」っていいですね。
「LOVE」はおそらくは991年の4月~6月のMULTI MAXのコンサートツアー中にレコーディングされたのでしょう。
7月からはチャゲアスのアルバム『TREE』の制作に入ったはずです。
「太陽と誇りの中で」のロングヒットやASKAソロの「はじまりはいつも雨」の大ヒットなどチャゲアス社会現象の序章的なムードがあった時期です。
そんな時期にChageさんは自身の音楽的ルーツを再確認するような楽曲を作っていたんですね。
ちなみに。さらにマニアックな聴き方があります。
「LOVE」はシングルVersionと、後にアルバム『Human』に収録されたVersionとではドラムに違いがあるんですよ。
ドラムだけが再録音されたようです。
Aメロの「疲れた日は君にKiss」のあとのドラムフィルの違いなどはとても分かりやすい違いです。
フィルのフレーズはシングルの方がシンプルでリンゴ・スターっぽいかな。
跳ねたリズムのノリはアルバムの方が軽さがあってちょっとジャズっぽさも出てる感じ。
どっちも好きですね。
上に引用しているチャゲアスの公式YouTubeチャンネルの「LOVE」のMVはシングルVersionです。
Chageさんのベストアルバム「PROLOGUE」に収録されているのはアルバムVersionです。
Chageさんのオフィシャルアプリならばシングルもアルバムも聴けますよ。
最近ならば『BOOT UP!』に収録された「No.3」が「ビートルズっぽい曲」と公言されていますが、マルチやチャゲアスなど昔の楽曲にもビートルズの影はちらちらと見え隠れしています。
いや、マルチは隠れてないですね。「LOVE」以外にもたくさん感じます。
チャゲアスも初期まで遡れば「放浪人(TABIBITO)」のコード進行は「モロ」にビートルズのあの曲です。わかりますか?
Chageさんの「現在」を感じる前にチャゲさんの「過去」をちょいと振り返ってみました。
新曲とライブ。楽しみですね!