Chageソロベストアルバム
『音道』
2018年5月16日発売
1998年9月20日にシングル「トウキョータワー」でソロ活動を始めたChageさんのソロ活動20周年ベストアルバム『音道』が発売されました。まさにソロ活動の集大成とも言えるベストアルバムです。
結論から言えば名盤です。
曲順が神がかっています。Chageさん(とファン)の歴史がその曲順に表れているんです。巧まずにしてコンセプトアルバムになったと思うのです。
Chage、ASKA、CHAGE and ASKAの現在進行形でのファンだけでなく、かつて聴いていたけど例の騒動で聞けなくなってしまった方、音楽が日常生活の中から縁遠いものになってしまったために自然と離れてしまった方にも手を取ってほしいです。このブログがその一助になればいいと思って心を込めて書きます。
全16曲。CDの収録時間の限界に挑戦したかのような80分30秒の大作です。
全曲レビューに挑戦! ここから長いですよ! 時間がある時にお読みください。
1 終章(エピローグ)MEMORIAL VERSION
亀田誠治さんのプロデュースによるCHAGE and ASKAの初期の名曲のセルフカバーです。
亀田誠治さんは現在のJ-POPを代表するプロデューサーです。ちょうど椎名林檎さんの作品で有名になった時期にチャゲアスの『NO DOUBT』の「熱帯魚」の編曲で参加しています。
そのアレンジはピアノを中心としたシンプルなバンドアレンジに流麗なストリングスを加えるという奇をてらわないもの。
亀田さんはベーシストなんですが、2番のベースラインが秀逸です。Chageさんの歌声だけでなく演奏もよーく聞いてほしい! ピアノ中心で音数の少ない1番はシンプルなベースラインなのですが、2番でドラムとストリングスが加わるとベースラインが動き始めます。
オリジナルとは異なり2番のあとに間奏が入ります。ストリングスが曲を盛り上げに盛り上げたあとの、ピアノとアコースティックギターのみの伴奏に亀田さんのベースが1オクターブ上の高さで動くあたりが悶絶もの。
これまで数多くのVersionが披露されてきた「終章」。新たな魅力が吹き込まれたと思います。
Chageさんの歌声は歌いあげ方やリズムの取り方などの癖を排除した原点回帰とも言えるものです。男女の別れを感傷的に描いた歌詞の内容であるにも関わらず未来への希望も感じさせる歌声です。
やっぱりええ歌や。
2 Viva! Happy Birthday!
新曲です。「終章」の余韻をぶち壊す弾けたディスコミュージックです。シングルカットしちゃえばいいのに… という傑作だと思います。
イントロがすばらしい! 私はディスコでフィーバーの世代よりは少し下なんでディスコには行ったことはないのですが、ディスコでこのイントロが流れたら来た来た! と気持ちが上がっていくような仕掛けになっています。
Earth&Wind,Fireの「宇宙のファンタジー」や「セプテンバー」の影響… どころかそのままの世界観。コード進行もメロディーもアレンジも。もし裏声で歌ったとしたら… そのままやんけ! パクリだのなんだの言うのがアホらしくなるほどの潔さです。
Chageさんの声ってファンクミュージックにも合うんですね。いやいや、恐れ入りました。カッコいい歌です。
そして、歌詞です。誕生日ソングなんですがここ数年のChageさんらしいメッセージが込められているんです。ASKAさんのブログの内容に多くのファンの心がかき乱されることを予感したかのような(2018/5/19にこの記事は書いております…)このフレーズ。
「相も変わらず過ぎゆく日々に 泣いてばかりもいられないさ」
世界中のすべての人に等しく訪れる誕生日。裏も表もなく「おめでとう」という歌です。
3 たった一度の人生ならば
そしてここからChageさんの歴史を遡ります。ベスト盤は発表時期が古いものがから新しいものへの並べるのが普通です。『SUPER BESTⅡ』も『ROLL OVER 20th』もそうですね。しかし、一番新しいシングルから時間を遡る並びになっています。
この並び。ASKAさんの事件がなければ違っていたのかもしれません。良くも悪くも私たちは「あのこと」抜きに2013年以降の楽曲を聴くことはできません。あのことがあったから生まれた楽曲たちを遡って聴くことで記憶の追体験ではなく、その時の自分に感覚の再確認をするような感覚になりました。
さて、「たった一度の人生ならば」は2017年を象徴する楽曲です。「遠景」の仮タイトルでアコースティックギターでの弾き語りで披露された時期が長くその時点でファンの心をつかんでいたいた楽曲です。
松井五郎さんの歌詞が先にありそれにメロディーをつけるのはこの後の「equal」「永い一日」と同じ手法です。曲が先行することが多いChageさんの歌作りにおいてイレギュラーな形で生まれたこれらの歌は当然ながらメッセージ色が強くなります。
「生きながら生かされながら いまがいつかはいつかわかる」
図らずもChageさんとASKAさんの世界観の違いがよくわかる楽曲だと思います。
タイトルの「たった一度の人生ならば」はASKAさんならば使わないでしょう。
「愛が愛に抱かれたら 僕は僕をくりかえす」とASKAさんは「birth」で歌いました。ASKAさんにとって人生は一度ではない。まっすぐ伸びた円を歩くものです。
しかも、その「birth」の歌詞の共作者は松井五郎さん。
五郎さんはChageさんとASKAさんの個性をちゃんとわかってはるんやなぁ、とその感慨を覚えます。
「たった一度の人生ならば めぐるすべてがはじまりまのか」
いい歌だなぁ。染みるなぁ。
4 もうひとつのLOVE SONG(SINGLE VERSION)
そして染みていると飛び込んでくるこのイントロ。「Viva! Happy Birthday!」と同じように全曲の余韻をぶち壊す最高の並びです。(褒めてます)
ライブでは「体操」なしに歌えない楽曲に育ちました。ひとりで聞いていても思わず手が動いてしまいます。
このSINGLE VERSIONは配信のみでしたので初CD化です。イントロとエンディング処理が異なっております。
Chageさんのチャゲアス愛がわかる歌だと思います。タイトルからはチャゲアスの代表作「LOVE SONG」を思い出さざるを得ません。そこに「もうひとつの」をつけるセンス。誰の心も傷つけないこの思いやりこそがChageさんらしさだと思います。相棒に教えてあげてくださいよ… どなたかがこのセンスを。
サウンドは「Viva! Happy Birthday!」のプロトタイプとも言える70年代風のディスコサウンド。コーラスもふんだんに使われています。敢えて使われているアナログシンセサイザー風のチープな音も実に効果的。
心がときめく歌ですね。本当に。
5 天使がくれたハンマー
そして始まるこのイントロ。「あのこと」を乗り越えた新しいChageさんを感じたなぁ。
バスドラム4つ打ちのダンスナンバー風のアレンジが後の「もうひとつのLOVE SONG」につながります。
バックビートのロックアレンジでは4つ打ちのリズムにすることで無機質なPOPS色を強めています。その無機質なリズムにエモーショナルな松井五郎さんの歌詞が乗ります。
「どんな壁だって 苦しみながら 進むために 砕いてきた」
この歌詞だけを見ると熱いロックナンバーになりそうですよね。しかし、聞き直してみてください。Chageさんの歌声も心の奥底に熱い思いを押し殺しているようです。
希望の化石を探し求める普通の音楽活動が再始動したこの時期ならではの楽曲です。おそらくはユニバーサルミュージックとソロとして再契約が結ばれたのもこの頃だと思います。それ以前の楽曲はヤマハの自主レーベルなど発売の形式が作品ごとに異なっていました。チャゲアスの再始動発表とその延期、ASKAさんの逮捕にともなう混乱からレコード会社との契約についてもさまざまな問題が生じていたんではないでしょうか。
とにかく「始まり」を感じます。
6 equal
この歌より前か後か。大きなことなんですよ。私にとっては。
最初にライヴで聞いた西川進さんアレンジもイントロの変拍子風の始まりが最高。いまだにあのイントロの解析ができない。裏なのか表なのか、どうなってるのかあのリズム。KINKSの「You Really Got Me」みたい。
そして、このアルバム収録の渡辺等さんアレンジも最高。少しテンポを落とし、プログレッシブロック風の間奏など、心の奥底の涙を搾り取られるような感じ(よくわからない主観的な表現ですいません)。
ライヴでこの歌を聞いた時のすっとした気持ちがなければ今の私はいない。この「equal」という歌がなければ立ち直れたかどうかもわからない。それくらいこの歌には感謝しています。
松井五郎さんの歌詞にばかり目が行きますがChageさんの曲がものすごいのです。チャゲアスでも、MULTI MAXでも、ソロでもなかったマイナーロック。いや、マイナーコードのロックはChageさんの得意なジャンルです。でも、なんだろう。この全編を通して感じる切なさは。
対位法っぽいメロディー(「We Know We are」や「Oye-Oye」が主旋律に絡んでくる感じ)が「Help!」などの掛け合いコーラスが使われたビートルズの楽曲を彷彿とさせるからなのか?
Chageさんのほどよく湿ったキーの高い声質で起伏の大きなメロディーが歌われるからのか?
いい歌だ。
歌詞の「君」と「僕」はどう解釈すべきか?
それは聞く人に委ねられています。
Chageさんとファンという解釈が正しくて、ChageさんとASKAさんという解釈は正しくないという考え方は好きではありません。
いいじゃないですか。C&Aを歌った歌だという解釈でも。
歌は自由です。自由な解釈ができるからこそ歌は次の世代に歌い継がれていきます。
岡村孝子さんが歌う「夢をあきらめないで」という歌があります。
この歌は歌詞をよく読むと失恋ソングであることがわかります。岡村孝子さんもそうおっしゃっていますが、「応援ソング」として世の中に広がりました。最初は岡村孝子さんもその広がり方に戸惑いがあったそうです。しかし、歌が作り手の手を離れて聞き手の中で育っていったと感じ、今でも大切に歌われています。
私は「equal」の「君と僕」を決めて聞いてはいません。
その時その時の「君と僕」が頭の中に浮かびます。
7 永い一日
横浜の赤レンガ倉庫で行われた「Chageの茶会2012~座・藍燈橫濱~」で初披露された楽曲。…って2012年か。もう、そんなに経つんですね。
横浜を舞台とした約100年にわたる一人の女性の物語をChageさんの歌で紡ぐというコンセプトのイベントでした。新旧のChageさんの楽曲と朗読で人生を表現したライブの唯一の新曲でした。
公演では沢口千恵さんが朗読を担当しChageさんのMCは一切なし。この曲の間奏でも朗読が挟み込まれました。
これまでになかった物語性のある楽曲となったこの曲は絶賛を浴び、公演も異例のアンコール公演が翌年に行われました。そして満を持して2014年に正式にレコーディングされFCとファンミーティングの会場で限定販売されました。
公演の脚本も担当した松井五郎さんが詞を書いています。曲の前半は松井五郎さんの詞にChageさんが曲をつけました。しかし、サビはChageさんのメロディーに松井五郎さんがが詞を載せています。
公演では吉川忠英さんのギター、渡辺等さんのベース、力石理江さんのピアノという最小限の演奏陣で披露されていました。(ちなみに現在Chageさんの盟友的存在になっている力石姉さんとの最初の共演がこの横濱茶会だったはずです。)
このレコーディングVersionでもその印象を大きく裏切らないシンプルなバックにストリングスが加わります。
この歌を聞くとあの感動的だった茶会を思い出します。あの1時間半の公演を凝縮した名曲です。
ちなみにこの楽曲が限定発売されていた「Chage Fan Meeting Tour 2014」のツアーの最中に「あのこと」が起きたわけですね。
染みます。実に染みわたる「泣きうた」です。
8 GO! GO! GO!
そして、その感動をぶっ倒す「GO! GO! GO!」が次に来るんですよ。
2012年4月に発表された、この意味もなくただ明るい、否、意味もなくただ明るく聞こえる「GO! GO! GO」の誕生の源流は2010年に遡ります。
伝説のバンド・チャゲトルズの初来日公演「ChageLiveTour10-11 "まわせ大きな地球儀"」でChageさん、否、チャーリーが派手なロックショーを披露しました。その前年、前々年は細道や茶会のようなアコースティックな音楽活動が中心でしたので、完全に正反対に振り切れたライブだったわけです。
そして、翌年は再び茶会と細道ツアー。そして、2012年にチャゲトルズが再来日を果たし発表した新曲が「GO! GO! GO!」でした。CDはそのライブツアーでの会場販売のみ。
サウンドはビートルズ直系のファンキーなブリテッシュロックサウンドですが、ベースのリフの決まり具合などからはナックの「マイシャローナ」も彷彿とさせます。古い言い方をすればゴキゲンなロックナンバーって奴です。
久松史奈さんのやさぐれたコーラスがかっこいい。ただし、主旋律に合わせてハーモニーをとることをコーラスと呼ぶのならばこれはコーラスではありません。これはツインヴォーカルですね。
さて、先ほど意味もなく明るい歌詞と書きましたがよく聞き込めば深い意味があるのです。
東日本大震災後の石巻市に訪れたことが契機となったようです。
「生まれてきた意味はきっとここにある」
「悲しみ追い越せば何が見えて来る」
底抜けに明るいサウンドに込められた深い思いをCDで聞くときはじっくり噛みしめておこうと思います。
9 TOKYO MOON
2011年9月に細道ツアーの会場で先行発売され、のちに一般発売された「TOKYO MOON」です。実は会場で発売されたCDと一般販売されたCDではCD番号が異なっています。
前曲の「GO! GO! GO!」と同じく、この年の3月に起きた東日本大震災なしにはできなかった楽曲です。
今はなきル・テアトル銀座 by PARCOで行われた「Chageの茶会2011〜銀座なう!〜」で初披露されました。震災後の節電対策で街のネオンが消えた東京銀座の街がモチーフとなっています。
「あの街も照らしてTOKYO MOON」
歌の最後のこのフレーズがすべてですね。
いつまでも忘れちゃいけない気持ちを思い起こさせてくれます。
昭和歌謡を彷彿とさせるレトロな曲調でありながら、コード進行はちょっと変なところに行ってるのもChageさんらしくていい。いやいや、そこマイナーに展開する? しかもそのコードでその音に行く? ってツッコミを入れたくなるのです。
アレンジは細道の盟友の吉川忠英さんです。楽器の選択が絶妙ですし、もちろん忠英さんのギターも絶品です。
10 遠くへ行きたい
そして「TOKYO MOON」のカップリングだった「遠くへ行きたい」のカバーです。
いわゆるボーナストラック的な存在ですが、この位置に入っていることでこのコンセプトアルバムの中の欠かせない大切なピースになりました。
オリジナルは1962年にジェリー藤尾さんが発表した楽曲です。永六輔作詞・中村八大作曲という「上を向いて歩こう」などの昭和歌謡曲の名コンビによるもの。
このChageさんのVersionはテレビ番組「遠くへ行きたい」のテーマ曲として作られたもの。渡辺等さんのアレンジでアコースティックギター中心のスピード感のある楽曲に生まれ変わりました。
11 まわせ大きな地球儀
2010年のアルバム『&C』の先行シングル。チャゲトルズのデビューシングルとも言えますね。
まっすぐな人生応援歌。というかこの『音道』には直接的にも間接的にも人の人生を励ます歌が多いのです。この「まわせ大きな地球儀」の頃はまだ「あのこと」は起きていなかった、正確には表沙汰にはなっていなかったのに。
曲はGとCの2コードで展開されるシンプルなロックナンバーです。ビートルズというよりはローリングストーンズ寄りのサウンドです。マニアックなことを書けばストーンズ以上にTHE WHOの「My Generation」です。GとCの2コード、ギターリフと弾んだベース。そこにアコースティックギターのカッティングがかなり大きくミックスされており曲の雰囲気を作り上げています。
たくさんのコードを駆使して意外性のあるメロディーを作るのがChageさん、ASKAさんの曲作りの王道ですがこの曲はいわゆる3コードのロックンロール。ただしChageさんが作るとPOPさが消えないのが不思議です。
12 アイシテル
スガシカオさんの作品などを手掛けていた森俊之と組んだ2008年『アイシテル』のオープニングナンバー。
CHAGE and ASKAが2007年のライブ「alive in live」を最後に活動を休止し本アック的なソロ活動の幕開けとなった作品でした。
森俊之さんとChageさんの関わりはそれまでほとんどなかったこともありこのコラボレーションは驚きました。サウンドの質感もそれまでともそれ以降とも大きく異なる乾いたPOPS色の強いものです。
この「アイシテル」はアルバム収録曲の中で最後に書いたものだそうです。ギター1本で作ったんだろうなと想像できるシンプルな8ビートの楽曲です。覚えやすくノリのいいメロディーラインですので嫌う人はいないはず。その後のライブでもさまざまなアレンジで歌われています。どんなアレンジにしても外れがないのはそのメロディーの強さゆえでしょう。
歌詞はChageさんのライフワークとも言えるラジオがテーマです。
「夜を越え 星を越え 届けよ僕の声」
「越え」と「声」の掛詞(かけことば)になっているのもポイントですが、深夜放送を思い起こさせますね。アルバムタイトル『音道』はラジオ番組「Chageの音道」が語源ですから、これほど収録がふさわしい楽曲はほかにないと言えるでしょう。
13 waltz
2008年のアルバム『アイシテル』の先行シングルでした。
最初に聞いた時はChageさんの声質に驚きました。録音方法が大きく異なる印象を受けたのです。それまで以上にリアルに聞こえました。
曲調はタイトル通りの3拍子のワルツ。Chageさんの3拍子の歌といえば「光の羅針盤」や「VISION」のようなロッカバラード風になる印象がありますが、これは繰り返しますがタイトル通りのワルツです。
演奏はタイトで無駄がない。それだけにヴォーカルが際立ちます。とにかく歌が上手い。当たり前ですが忘れがちなことなことなのでもう一度言います。
とにかく歌が上手い。
歌詞は冒頭の1行がすばらしい。
「どうしてもやさしさは 悲しみを連れてくる」
耳に痛いなぁ。私も家族を愛さなきや… そう思わせてくれます。
Chageさんの新しい家族を歌った歌なんでしょうね。そう思います。
14 トウキョータワー(SINGLE VERSION)
そして10年空いて1998年まで遡ります。
MULTI MAXの活動が一区切りつき、チャゲアスの活動再開が延期となったことで生まれた初のソロ活動。
ロックナンバーの「[7]」もシングル候補だったらしいですがこの絶品のバラードが初シングルになりました。
「同じ歩幅で行こう 同じ景色にいよう」
このフレーズはChageさんのその後の活動を象徴しているかのようです。
とにかくメロディーも歌詞もアレンジも最高のバラード。
このシングルVersionはアルバム収録Versionとイントロが異なります。こちらの方を先に聞いていたんですが今聞くと新鮮ですね。
エンディングもフェイドアウトします。
15 ふたりの愛ランド(石川優子とチャゲ)
そして14年遡ります。1984年の大ヒット曲。
同時期にチャゲ&飛鳥が歌っていたのは「MOON LIGHT BLUES」です。チャゲアスがPOPS色を強めていった時期です。
JAL沖縄のキャンペーンソングとして社会現象を巻き起こしチャゲアスのファン層だけでなく世間一般で親しまれました。オリコンチャートでも3位まで上昇し、テレビの人気音楽番組「ザ・ベストテン」では最高2位。年間ベストテンでも10位になりました。
同じヤマハ所属の石川優子さんとのデュエットですが石川優子さんはKeyの高い声質です。チャゲさんも声質が高いためKey調整には苦労していますね。基本的には石川優子さんのKeyでアレンジがなされチャゲさんがそれに合わせる形をとっています。
Aメロの出だしは一般男性にはちょっときついでしょう。カラオケで歌おうとして声が高くてびっくりした人も多いと思います。一転Bメロからは1オクターブ下に移りハモっています。
さて、この「ふたりの愛ランド」。ヒットには理由があります。とっつきやすいサビの「夏夏ナツナツココ夏」(ココナッツ、ではありません)ばかりに目が行きますがイントロの仕掛けが重要なポイントです。
結論から言えばビートルズの「抱きしめたい」と同じなんです。
シンコペーションで入ってくる印象的なフレーズで心をつかみキャッチーなAメロになだれ込みます。
ぜひ「抱きしめたい」と聴き比べてほしいです。ほんとだなんか似てるな~、って思ってもらえると思うんですが。
これまで「ふたりの愛ランド」は石川優子さんのベスト盤にしか収録されていませんでした。今回初めてChage名義でCD化されましたがデジタルリマスターされており音質が大幅にUPしているように思います。
かつてChageさんはこの曲を恥ずかしい過去のように語っていたこともありました。1周回ってこうやってベスト盤に収録されたことを嬉しく思いますね。
16 愛すべきばかちんたちへ
そして最後は「たった一度の人生ならば」のカップリング曲の「愛すべきばかちんたちへ」です。チャゲ&飛鳥の1982年のアルバム『黄昏の騎士』に収録された作詞・作曲:チャゲ&飛鳥名義の楽曲です。CDの歌詞表記にも「チャゲ&飛鳥」の表記になっているのがちょっと嬉しい。小さな幸せです。
この曲で終わるのがすばらしい。ラジオ番組「Chageの音道」のエンディングテーマでもあることも理由の一つでしょうが、「終章」に始まり「愛すべきばかちんたちへ」で終わるこの構成が一つの作品集としてすばらしいと思うのです。
Chageさんの音の道をたどるというコンセプトアルバムとして完成されています。
以上。
2日がかりで書きあげましたがただの感想文になっている気もします。
とにかく「愛すべきばかちんたちへ」が終わると再び「終章」に戻りたくなりますよ。
多くの人の手にわたり、たくさんの人が聴いてくれますように。