Chageソロシングル「たった一度の人生ならば

2017.5.3発売 

 

ファンにとっては待ちに待っていたシングル発売です。

この楽曲は2016年6月の「ファンクラブミーティング2016〜ここがファンミのど真ん中!!〜」で「遠景」という仮タイトルで初披露されました。そして、8~9月の「Live Tour~もうひとつのLOVE SONG~」でも「遠景」のタイトルで歌われた後、12月の「 X’mas Dinner Show 2016」で正式タイトルの「たった一度の人生ならば」として歌われました。ここまではすべてChageさんのギター弾き語りでの演奏です。そして、2017年3~4月の「ファンミーティング2017~ドレミファ・ファミリー~」でピアノとギターの演奏による歌唱が披露されました。発売前からこれだけ歌われることも異例ですが、何度も歌われてきたこともありすでにファンの中ではすでに人気曲となっています。

 

作詞は盟友の松井五郎さん。作曲はChageさん。編曲は渡辺等さん。

松井五郎さんの詞がありきの曲作りだと語っていらっしゃいます。チャゲアス時代からChageさんのほとんどの楽曲は曲が先に作られ、後から詞が書かれています。過去の作曲の様子が収められた映像を見る限りでは「ラララ」というような単純な言葉ではなく「デタラメ英語」とでもいうべき意味はないけれどもリズミカルな音の言葉でメロディーを作っているようです。Chage and Askaの現時点での最新アルバム『DOUBLE』の「Wasting Time」のように仮歌で使われていた言葉をもとに歌詞が作られたものもあります。

今回の「たった一度の人生ならば」は歌詞から発想を得てメロディーを作っています。これは同じ松井五郎さんの作詞の「永い一日」でもとられた手法ですが、松井五郎さんとChageさんのお互いの信頼関係があればこそなんでしょう。

 

私はChageさんのバラードが大好きなんですが、Chageさんのバラード曲のメロディーの特徴は「一筆書き」だと思っています。抽象的な言い方なので、少し説明します。

「終章(エピローグ)」、「夢を見ましょうか」、「12色のクレヨン」、「永遠の謎」…

新旧・有名無名を問わず「いい歌」たちです。

これらの楽曲は奇をてらったような意外性のある転調はないんです。

Chageさんの楽曲の魅力の一つは「なんでそこにいくの?」と思わされる意外性のあるコード進行とメロディーの音のもっていき方です(一般大衆への楽曲の浸透度はより強いとされるASKAさんの方が実はコード進行の複雑怪奇さは上ですが…)。

しかし、先に挙げたような楽曲はメロディーが鼻歌で作られそれにコードを乗せた(かのような)自然さがあります。もちろん、緻密に計算されて作られているのでしょうが無駄をそぎ落としてシンプルに仕上げられた結果、あたかも一筆書きで書かれたと思わされるかの如き錯覚に陥ってしまうのです。

ビートルズのポール・マッカートニーはあの名曲「Yesterday」を夢の中で作ったそうです。朝起きたら頭の中でメロディーが鳴っていた。どこかで聞いたことがあるような気がしてメンバーに聞かせたがそんな曲は知らないと言われ自分の曲として発表した、という伝説が語り継がれています。(しかも、詞が書かれる前の仮歌では最初の「イエスタデー」の部分を「スクランブルエッ~グ」と歌っていたそうです…)

「Yesterday」のようにシンプルでありながらどこにも無駄がない(言い方を変えれば新たなメロディーを足しようもない)メロディーが何年かに一度Chageさんから生み出されているのです。

 

「たった一度の人生ならば」をギターでコピーをしてみました。

KeyはGです。初期の名曲「終章(エピローグ)」も「夢を見ましょうか」もGコードで作られたはずです。「終章」はカポを使って半音上げて歌われていますが、絶対にギターのAコードではなくGコードで作ったはずです。(これはギタリストとしての勘です)GのKeyのバラードはChageさんの王道なんです。

そして、BメロでBmに行くところ、サビの泣かせどころでの7thコードの使用、一つのコードの中でのベース音の下降(クリシェ)など、いわばChageさんの作曲法の「常套句」とも言える手法が数多く使われている印象です。まあ、いい歌になって当たり前。でも、長年Chageさんができるのに敢えて避けてきた作曲法だと思うのです。

Chageさんは「終章(エピローグ)」みたいな歌を作ってくれ、というリクエストを数限りなく聞いてきたはずです。その成果が「嘘」や「夢を見ましょうか」なんですが、その後は「夏の終わり」があるくらいではっきりと「終章」っぽさを感じる歌は少ないんです。

つまり、敢えてやらなかったんだと思います。

今回は、敢えてやったんだと思います。

 

デビューのきっかけとなった「ポプコンエイジ」に出演した影響かもしれません。

デビュー時期の盟友の松井五郎の歌詞に触発されたのかもしれません。

セルフプロデュースを初めて行ったことで自身の魅力を客観視したのかもしれません。

 

どれが理由であったとしても…

長年のファンからすれば「待っていました」であります。

メロディーの紡ぎ方はデビュー期のそれとは違いますし、何よりも声が違うし表現力が違います。手法は同じでも現在の新しいChageさんなのです。

 

素晴らしい楽曲だと思います。

 

CDの宣伝文句もファンのみなさんの関心もこの楽曲の「歌詞」に重きが置かれているように感じたこともあり逆に作曲面から語ってみました。

もちろん五郎さんの「人生」という重いことばをリアルな響きを持った意味に聞かせるシンプルかつ深い表現を伴った詞の世界があればこその名曲であることは申し添えしておきます。

 

カップリングの「愛すべきばかちんたちへ」を語るスペースがなくなりました。

意識してなのかせずなのかはわかりませんが2曲が対になっている印象です。

 

20代前半で作った人生の歌と50代の終わりに作った人生の歌のカップリング。

 

そして、Chageさんは全力でチャゲ&飛鳥を守ってくれています。

ASKAさん。あなたが帰る場所はChageさんが守ってくれていますよ。

だから、安心して今のASKAさんの楽曲を歌ってください。

おふたりの進む道の先に交わるところがもしあるのならばChageさんが守ってくれているその場所に戻ればいいんだと思います。

ChageさんもASKAさんもそこを目指すのではなく、それぞれの音楽をやっていく中で、ふたりでやればひとりでやるよりも「面白い」ことがあるとふたりともが感じたならば…

それくらいの気持ちでやってくれるのが一番うれしいかな。

 

CDジャケットの写真もASKAさんの場所を空けているのかな…

考えすぎかなぁ。

 

オリコンのデイリーチャートでは初登場12位のようです。

なかなかの好発進のようでうれしい限りです。

もっともっとたくさんの人のお耳にとまりますように。

 

というわけで未購入の方はご購入の上、再度お読みください。