Chageソロ・ライヴアルバム

Chage Live Tour 2016〜もうひとつのLOVE SONG

20161214日発売 オリコン最高68

 

ソロでは初となるライブアルバムです。2016916日の東京・豊洲PITでのライブがCD2枚に収録されています。

収録曲は以下の通りです。

CD1

1 SE

2 &C

3 Hurray!Huray!

4 アイシテル

5 迷い猫のシャッフル

6 MC1

7 Reason

8 春の雪

9 MC2

10 空飛ぶ電車とPancake

11 夏の終わり

12 SOME DAY

CD2

1 MC3

2 もうひとつのLOVE SONG

3 君の瞳に恋してる(バンドメンバー紹介)

4 GO!GO!GO!

5 ふたりの愛ランド

6 ロマンシング ヤード

7 NLの野球帽

8 Encore

9 YAH YAH YAH

10 WINDY ROAD

 

ライヴの様子はいろいろな方がブログなどでレポートをUPされているようです。臨場感を味わいたい人はそれらもご参照下さい。今回、私は大阪公演に参加した上でこのCDを聞いた感想をまとめます。

 

ソロとしては初のライヴアルバムです。ネット配信ではここ数年ライブ音源がリリースされてきました。しかし、今作はCDとして発売することに意義を見いだしていると感じます。MCでも触れられていますが20169月に発売されたTHE BEATLESの『LIVE AT THE HOLLYWOOD BOWL』に触発されたようです。

このTHE BEATLES唯一のライヴアルバムは1964年と1965年にアメリカツアーのハリウッドボウル公演をライヴアルバムとして発表したものです。しかし、録音はしたもののファンの歓声があまりにも大きく録音状態があまり良くなかったことから当時は発売が見送られていました。解散後の1977年に録音されている4回分の公演から13曲が選ばれ、ようやくライヴアルバムとして発売されました。その後、オリジナルアルバムがCD化されても、最近になってリマスターCD化されてもこのライブアルバムはCD化が見送られてきました。今年の3月にお亡くなりになったプロデューサーのジョージ・マーティンの意向だったと言われています。私はHOLLYWOOD BOWLの全公演の全曲が収録されているいわゆる海賊盤CDを持っていますが、とてつもない歓声というか悲鳴にかき消される演奏が印象的でした。モニタースピーカー(演奏者自身が自分たちの音を確認するスピーカー)がなかったこともありリズムがあからさまにずれてしまう楽曲もあるほどです。今回の再発売は新たにオリジナルのマスターテープから最新技術を使ってリマスター&リミックスされた音源でした。オリジナルと比較すると格段と演奏をはっきり聴くことができるまさに「ライヴアルバム」でした。その「音声だけ」ならではの臨場感や記録性に私も改めて惹かれました。Chageさんも私と同じようにこのアルバムを聴き倒したんだなあと思うと嬉しいです。

 

さて、今回の「もうラブツアー」の映像化を見送ったのにはさまざまな事情があるかとは思いますが、特典ではない正規のCDという形に残して下さったことに感謝です。

2015年の天ハンツアー、2014年のequalツアーはビデオ化されています。実はその2つのツアーも特典や配信限定などで音源化はされていますがMCはほとんどカットされていました。今回はMCも含めたほぼ完全版です。ただし、アンコールの最後に弾き語りで歌われた未発表曲の「遠景」は収録されませんでした。別の形でのリリースを考えているのでしょう。

 

さて、大阪公演に参加した記憶とライヴCDの「音」を聞いた上での感想です。

演奏はシンプルです。チャゲアス時代のように打ち込み音源をシンクロさせた「厚い」音像ではなく、ミュージシャンひとりひとりの出す音がダイレクトに伝わってくる「薄い」音です。しかし、楽器一つ一つの音が分厚く響きます。バンドメンバーが年齢的に若いこともありロックの初期衝動を感じさせる弾けた「熱い」音像になっています。

編成的にはドラムのタナカジュンさんとベースの小島剛広さんの若いリズム隊が特徴的です。今回のメンバーになってずいぶんと音が変わったなと思いました。(特にドラムの変化が顕著です)

長年の相棒である西川進さんのギターは安定かつ大暴れ。セカンドギターの芳賀義彦さんもするどく切れ込んでくる魂の籠もった音です。

ここ数年のChageさんのライヴのキーボードといえば力石理恵さん。力強いソロを奏でるだけでなく、さまざまな音色を使い分けて世界観を広いげております。

そして、去年のツアーに引き続いて参加のコーラスの石橋優子さん。絶対にピッチを外さない。「ふたりの愛ランド」だけでなく「SOME DAY」のような楽曲もあり、コーラスと言うよりはツインヴォーカルですね。

 

オープニングの3曲は最近のソロアルバムの1曲目であり、タイトルナンバーでもあるんですね。アルバムの代名詞的な楽曲を3曲並べています。「&C」のアレンジは原曲のイメージですが「Hurray!Hurray!」「アイシテル」はラテン風味にアレンジされています。実は初日の大阪公演では「アイシテル」を派手に間違えてしまった(ラストサビ前のブレイクを忘れて早く歌い始めて演奏とズレたんです)んですが、演奏も含めてしっかり歌われております。

MCを挟んで新作より「迷い猫のシャッフル」。90年代のチャゲアスを思い起こさせる憎い楽曲です。

そして、どの会場でもイントロで歓声があがったことでしょう。90年の『SEE YA』に収録されていた人気曲「Reason」。ASKAさんの掛け合いヴォーカルは石橋優子さんが再現されました。続いて『&C』の人気曲の「春の雪」。季節はずれですが()

新作『ANOTHER LOVE SONG』から「空飛ぶ電車とPancake」と「夏の終わり」、前半のラスト「SOME DAY」とバラードコーナーです。「SOME DAY」は披露されるたびにアレンジが微妙に異なるのですがどう料理してもいい歌はいい歌です。歌唱力が試される楽曲でもありますがここでも石橋優子さん、オリジナルのひろみさんへのリスペクトも感じる悪感の歌声です。オリジナルの啓介さんパートはChageさんも少し啓介さんを意識したような歌い方に感じるのは私がMULTI MAXを聞き過ぎたからでしょうか。

CD2枚目は怒濤の後半戦。ELTサウンド全開の「もうひとつのLOVE SONG」。Boys Town Gangの「君の瞳に恋してる(Can't Take My Eyes Off You)」に乗せてのメンバー紹介から、印象的なベースのリフのイントロを奏でる「GO! GO! GO!」。一時の封印状態はどこに行った? すっかり定番曲になった「ふたりの愛ランド」。そして「ロマンシングヤード」とUPテンポの元気な楽曲で攻めます。

本編ラストは「NLの野球帽」。『ANOTHER LOVE SONG』でのセルフカバーアレンジですが歌い方は少しオリジナルも混じったような感じ。この曲も様々なアレンジで歌われてきた歌ですが土台の歌詞とメロディーと歌声が素晴らしいので、いい歌はやっぱりいい歌なんです。

そして、アンコールでの「YAH YAH YAH」。このライヴアルバム発売時期にちょうどこの曲を作詞作曲したASKAさんの再逮捕の話題で世間が大騒ぎだったこともあり、初めてCDで聞いたときは涙が出てきてしょうがなかったです。もちろん会場でも泣いてましたが。Chageさんにつられずにみなさん歌うことは出来ましたでしょうか? 演奏はほぼオリジナル通りのアレンジながらより生バンド感がリアルに伝わってきます。西川進さんが弾く「YAH YAH YAH」…。感慨無量です。そして、ブックレットの作詞作曲:飛鳥涼の文字。オリジナル通りの表記なんですね。感慨無量であります。

ラストは「WINDY ROAD」。よく考えてみたら「ロマンシングヤード」「NとLの野球帽」「WINDY ROAD」が同じライヴの中で共存しているなんて… なんて贅沢なんでしょうか。チャゲアスを、Chageさんをずっと聞き続けてきて本当に良かったと思います。

 

 

チャゲアスでは活動初期に2枚のライヴアルバムが発売されています。「田園コロシアム」と「代々木競技場」の初期の活動における最重要なコンサートの記録としての意味があったのでしょう。その後はライブを記録する形態としてはビデオが一般的になりましたので、正式なアルバムとしてはお互いのソロも含めて1枚もありませんでした。今回、CDでのライヴアルバムという「時代遅れ」「時代外れ」な形での発売がされました。ミニアルバム2枚をアナログレコードのA面・B面に例えてみたり、80年代ディスコサウンドを再現してみたり、ギターの弾き語りで未発表新曲を披露してみたり…。今のChageさんのキーワードはこの「時代遅れ」の格好良さなのかもしれません。

 

また、今回のChageさんは昨年、一昨年のツアーと比較して声の調子が非常にいいんです。「天ハン」ツアーの映像や音声でのChageさんは少しツアー疲れか風邪気味かが感じられる歌声でした。CDに収められていない最後の「遠景」を聞いた方ならおわかりだと思いますが最後までとにかくよく声が前に出ていました。この国宝級の喉を大切にしてもらって、今後もいいライヴをお願いしたものです。

 

ASKAさんの話題で少々心が疲れてしまっているチャゲアスファンのみなさん。

ASKAさん寄りのチャゲアスファンでChappy=ファンクラブequal会員ではないみなさん。

今こそこのライヴアルバムを聴くべきです。

音楽の素晴らしさ、初期衝動を味わうことができます。

自分がなぜChageさんを、チャゲアスを愛しているのかを再確認できます。

 

世間がASKAさんで騒いでいる今だからこそ!

Chageさんの「音楽」に注目する人が1人でも増えてくれたらこの記事を書いた意味があるというものです。

Chageさんは変わらずに変わりながら音楽を奏でています。

もうすぐASKAさんも帰ってきてくれるでしょう。

ふたりの音楽をただの音楽として楽しむ日々はかならずやって来ます!

 

音楽はただの音楽でなければならないはずです。

色眼鏡を外して無邪気に音を楽しむ。

だから、今は新たに届けられたこの音源を楽しみましょう。