2004年からNBCニュース・マガジン・ショー『Dateline』で時おり放送される「To Catch a Predator(性犯罪者を捕まえろ!)」は、生々しいことこの上ない。これにかかったら全国放送で大恥をかかされるばかりか、まともな社会生活ができなくなる。まるで究極のドッキリ・カメラだ。


番組はまずオンライン・チャットで、未成年との性行為を望む未来の性犯罪者を見つけ出す。「私14歳だけど寂しいの」みたいな会話をして、ターゲットが「XXXしてあげる」など、相手が未成年と知りながら性行為の意思表示を見せたところで、カメラが仕掛けられた家にターゲットを誘い出す


家には未成年の少女(あるいは少年)を演じる囮の役者が待っている。ターゲットが家の中に入ってひとしきり会話をしたところで、囮は「ちょっと失礼」とその場を離れる。


すると入れ替わりにレポーターのクリス・ハンセンが登場、「あんた何をしてるんだ」と聞く。ターゲットは「別にちょっと寄ってみただけ」とごまかすが、ハンセンは「あんたオンラインで、14歳とわかって性行為を望んで・・・」などとチャットの記録を突きつける。そして、これはNBCの性犯罪者を捕まえる番組だと告げる。


最後にターゲットは家を出て行くが、外には警官が待っていて、地面にうつぶせにされて逮捕される


YouTubeにころがっていた映像


7月25日の放送では、ついに日本人とおぼしき人物がターゲットになった。このニューヨークのデパート勤務37歳の男は、ショックのあまり失神 している。


性犯罪撲滅という名目は結構だが、CM前に上記の失神シーンのようなハイライトを繰り返し流したり、クリス・ハンセンがみのもんたばりのこなれた口調でターゲットを問い詰めたり、なんとか面白く見せて視聴率を稼ごうという演出意図を感じざるを得ない。


ターゲットの中には変態というよりただ寂しくてという者もいる。そういった人の心のスキマに取り入って囮を使ってあえて犯罪を生み出しているのでは?という疑問もわく。


もっともわざわざ家まで来る途中で、何度も思い直すチャンスはある。それでも囮につられて来てしまった場合はもはや釈明の余地なし・・・という理屈があって、この番組で逮捕され不当な囮捜査を訴えて成功した者はいないらしい。


有罪、懲役もさることながら、全国放送でのさらし者はきつい。しかも再放送あり、モザイクや音声変換は一切ない。なんともテレビは恐ろしい。