世界一周に行くぞと思ったときまず考えたのが当然
お金を貯めなければ・・・ということでした。
できるだけはやく貯める方法として世間知らずな私が思い当たったのは
なぜか山小屋のアルバイトしかありませんでした。
街では家賃・食費などの生活費がかかるしいろいろ物欲も出てしまいます。
それなら山に住んで働いて、できるだけ下りてこなければいいんだ、という感じです。
そんなわけで、
普通の街のことを「下界」と呼ぶ雲の上の暮らしがスタートしたのが
2011年4月22日のことでした。
●4月22日
下界(東京)では桜も終わったぽかぽかした季節。
7:50 新宿バスターミナルから松本行き高速バスに乗る
11:00 松本駅到着
13:00 蝶ケ岳ヒュッテ連絡事務所に到着
※本当は翌日の予定だったが天気が崩れそうなのでと急遽ヘリポートへ。
15:00頃 人生初のヘリに乗せてもらう!
あっという間(5分くらい)に標高2677mの
雪と強風の真っ白な世界へ・・・
小屋は半分くらい雪に埋もれて全貌がわからない。
寒いとは聞いていたけど、本当に本当に寒いっ・・・
寝るときは、持ってきていた服を着込めるだけ着込んで、
(雨具まで着て)ペットボトルにあっついお湯を入れて抱え込んで、
高山病による軽い頭痛をこらえながら寝た。
一気に季節逆戻りだ・・
これから半年はここがお家、がんばろう。
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それからたいぶとんで・・・
●6月3日 晴れ
来たばかりのときに比べると雪が減ってハエ以外の虫も出てき始めて、
ようやく春の兆し!山の暮らしにもずいぶん慣れてきた頃。
山では毎日つけてた日記を読み返すと、
この日は「ヘリの日」だったようだ。
山では、食糧や燃料などの物資を少なくとも月に1回ヘリで吊って上げる。
この日は早起きしてヘリが持ってきてくれた大量の荷物を
小屋に運び込んで整理する。
食糧庫には新鮮な野菜が補充されて、冷凍庫もいっぱいになる。
下界の事務所の社長さんが小屋のスタッフのために、
手作りのカレーとかドーナツとかシュークリームとかメロンとか酒とか・・
下界のすてきなものをヘリに積んでくれる。
スタッフは大喜びでそれらを平等に分け合って
大事そうに少しずつ食べる。
この日はミスドのポンデリングに沸いたと日記に書いてあった。
いろんな山小屋で長年働いてきた先輩スタッフによると、
この小屋はスタッフの食事に関して恵まれているとのことだった。
本当にありがたいことです。
↓荷物を下ろしてヘリが去っていく様子
↓北アルプス 槍ヶ岳・穂高を眺めながら一休み。贅沢!
●6月19日
夕日に染まる槍ヶ岳
●6月22日
山頂で初めて花を見た日。
▲ミヤマキンバイ
岩だらけで風も強い厳しい環境に咲いている逞しい花です。
●7月21日
こんなふうに雲海がとてもきれいな日があります。
夏は山登りシーズン。
夏休みが始まったこのあたりから急に忙しくなる山小屋です。
☆山小屋スタッフのある1日(忙しい時期)☆
4:00 起床。眠い目をこすりながらお客さんの朝食を作る。
多いとき200人以上分。
ごはんも味噌汁も大量です。
5:00 お客さんに朝食を出す。
7:00 皿洗い終了→掃除。
8:00 スタッフ朝食→食べたら掃除。
---交代で休憩---
11:00 ランチ(軽食)の営業スタート(~14:00)
---交代で休憩---
宿泊受付・売店など
15:00頃 お客さんの夕食の準備開始
17:00 お客さんに夕食を出す。
皿洗いが終わるとスタッフも夕食。
サイコロを振って明日のまかない作る人を決める。
お仕事終了
(暇な日は19時半には自由の身、忙しいときは22時とか・・)
その他:山頂の山小屋では水がとーっても貴重なため、
お風呂は5日に1回。お風呂の日はそれだけでうれしい。
●8月25日
国の天然記念物指定のヤマネが
小屋に迷い込んできてくつろいでいるところ。
野生のはずなのに、警戒心ゼロ。
数時間滞在して山へ帰りました。
●10月20日
雲があるとこの山脈の大きさが写真でも伝わるような気がします。
※左から奥穂高岳・涸沢岳・北穂高岳・大キレット・南岳・中岳・大喰岳・槍ヶ岳
(一番高いのは奥穂高岳3190m)
この雲の下の谷には梓川が流れていて、
そのまま有名な上高地へと続いています。
●10月26日
もうすぐ山頂は雪で閉ざされた冬になります。
小屋閉めまであと1週間。
年末のような気分になります。
もうすっかり寒い。朝は氷点下。日中も5℃くらい?
●11月4日 am6:15 最後の朝日
いよいよ小屋を閉めて下山します。
am10:45 下界へ出発
戸板を付けて真冬の冬眠に備える小屋。
pm1:00頃には登山口に。
下界は紅葉がきれいでした。
コスモスも咲いていて、ぽかぽか陽気で。
こうして山の暮らしが終わりました。
長いのに、
ここまで読んでくれた方がいたら、
ありがとうございました。
これでもかなりダイジェスト版です。
ほんといろんなことがあった!
一生忘れられない半年だと思います。