パキスタンの国境からほど近いインド西部の砂漠の町、ジャイサルメール。
砂岩でつくられた土色の建物は夕日が沈むと輝き始め、まさにゴールデンシティのようだった。
でもその町並みの美しさからは想像もできないような貧困がここにはあった。
▲ 夕日が沈む丘の上で、凧上げをしている少年。
▲ この子はすごく印象深かった。周りの子供達が「Give me five!! Give me five!!」と外国人を煽っているなか、ただ一人ぼーっと丘の上で町を眺めていた。
▲ 城内の土産通り。
▲ 城内は観光客用に整備されててほとんどの建物が小奇麗なゲストハウスかレストランだった。
▲ 町から見上げた城。
▲ 夜の城内。
▲ 牛の角に荷物をかけていた女の子。
ジャイサルメールから出発する日、バス待ちをする僕の前に一人の少女が歩いてきた。
その子は見るからに貧しそうな子で、ボロボロの布切れを纏い、骨が見えるやせ細った体を遠くから見ても分かるくらいにガタガタ震えさせていた。
昨晩は日本の真冬を思わせるほど相当冷え込んだのに所々肌も露出していて足いたっては裸足だ。
身長の感じでは中学生くらいに思ったけど、骨だけの貧相な体つきとうつむき加減に下を向き、丸めた体が年齢を分からなくさせていた。
信じられないが本当に生きているのが不思議なくらいだ。
その時、僕の両隣には、これから行くクーリー村のホテルの客引きがぴったりと張り付いていて、ウチのホテルのほうがいいぞ、と他の日本人がかいた感想ノートを無理やり見させたり、彼の日本人の友達とやらに電話で会話させられたりしていた。
そんな話を聞き流しながら僕の視線は彼女にずっと向いていた。
バス停の前は簡素なベンチがあり、チャイ屋と雑貨屋が隣接していた。
少女が一人で何か食べ物を恵んでもらおうと来たのか、チャイ屋に集まっている人達に何も話すこともなく目だけで訴えるけど誰も見向きもしない。
まるで空気のようだった。
ああ、これがカースト制度の最下層にすらも属さない不可触民(アンタッチャブル)なのか。
インドに未だに根強く残るカースト制度。
そんな超格差社会の中で奴隷どころか人間扱いされない人達がたくさんいる。
その光景は、華やかな都ばかり見学してきた僕にインドの現実をまざまざと見せつけた。
やがてようやく一人の男性が少女の肩を抱き、こっちの焚き火で暖まれと火の近くまで連れていった。
それでも少女の体の震えは止まらずいつまででもいつまででも震えていた。
緑は町を豊かにし、人の心も豊かにする。
砂漠の町では普通に生活することもままならないんだ。






