標高5000mを超える山々に囲まれたこの極寒の地域はパキスタン、中国間との紛争地帯でもあった。
そのせいか、町の中に残されている乾燥レンガで造られた建物はどこか中東の面影がある。
空気は乾燥していて、毎日澄み渡る青空を見ることができるけど、そのために厳しい寒さと戦わなくちゃいけない。
冬はシーズンオフなので100件以上もある宿もほとんどがクローズし、オープンしている宿でも暖房がついている部屋なんてない。
それどころか電気さえ使える時間が限られている。
僕が泊まっていた宿では、夜の17~23時の間だけ使えていた。
薄暗くなってきたころに一斉に電気が付くのを見ると、それだけで嬉しかった。
子供達も電気が使えるようになると遊べるので大喜び。
大声で楽しそうに騒ぎはじめる。
でも、それもかなり不安定で、全く電気が使えない日があったりして真っ暗な中、一晩過ごしたこともあった。
そんな日のためにロウソクを用意してからは毎日がキャンドルナイト。
電気が使える時間なのに意味もなく部屋を暗くしてロウソクに火をつけて、少しでも暖を取ろうと頑張ってたけど、所詮ロウソク一本じゃ部屋の中は全然温かくならなかった。
ダウンジャケットを着たまま布団に包まり寝ていた。
遮るものが何もないので太陽光が強く、日のあたる所と日陰とでは体感気温が全然違う。
日陰は本当に寒すぎる。
部屋の中は寒いので、少しでも温まろうと外に出て、日向でのんびり過ごすことが多かった。
高い場所に登っても風が吹かないのでぽかぽかと気持ちが良い。
毎朝起きて動き出す時間になると、宿の人が一杯のチャイをくれるので、それを屋上に持っていって飲むのが日課になっていた。
最高に美味しかった。
レーの朝は少し遅い。
朝の6時には日が昇り始めるけど、周りが高い山に囲まれているためにこの時間はまだ暗い。
8時頃になってようやく町の中に日の光が届いて動き出すことができる。
それまでは氷点下だ。
そのころになるとみんな起き始めて朝食の支度をし始める。
町の中はまだ静か。
9時になると子供達がみんな揃ってバスに乗って学校に行き、
10時になってようやく町の中の店がぽつぽつと開き始めて、道に人も増えてくる。
何もしてない時間は寒いので自然と早寝早起きの生活になってしまい、いつも少し遅めに開くのがとても待ち遠しかった。
レストランにいけばいつでも温かいスープが飲めるからね。
そして、日が完全に沈むのは夕方の6時頃だけど、それも1時間前には太陽が山に隠れてしまうのでいつも5時になると暗くなってしまう。
それは同時に僕の外での活動時間の終わりを意味していた。
布団にもぐりこんで退屈しのぎにパソコンを起動させて暇つぶしをする。
そんな一日だから実際に外にいる時間は一日6時間くらいしかないわけだから極端に短い。
一日が終わるのがとても早く感じられた。
夜は嫌になるくらい長いんだけど。
たまに勇気を出して屋上に上って星空を眺めていた。
流れ星がよく見えた。
部屋の値段は日の当たり加減で値段が違ったりする。
シングルかダブルかだとか、エアコン付、シャワー付だとかそんな問題じゃない。
日の光が入るかどうかが一番のポイントだ。
そして最安値で泊まっている自分の部屋はもちろん日中でも薄暗くて寒い。
そんな部屋でも長く住んでいると居心地がよくなってくるから不思議なもんだ。
到着してから体調が悪かった僕にとってはシャワーが一番の問題だった。
共同で使えるシャワーは電気でお湯沸かすので夜にならないと使えなかった。
しかし、夜といえばベッドから出るだけでブルブルと身震いするくらいに寒い。
湯冷めなんかしたら、と考えるだけでためらってしまう。
しかもすぐには温かくならないので、スイッチを入れて20分ほどの待ち時間で得られるのはたったバケツ二杯分の湯だけだ。
貯まっている分が消費されるととたんに氷水が出てくるので恐ろしい。
だいたい、そんなバケツ二杯の湯で温まるわけがない。
だからバケツに湯をためて足湯をして体を温めたり、前日に沸騰させておいて翌日の朝に入ったりと色々工夫した。
お湯が自分の生命線のなので、これがなくなったら自分は死ぬって思い込みながら大急ぎでシャワーを浴びた。
実際に浴びている時間は1分にもならない。
水シャワーで問題なかった今までと違って、風呂に入るだけでも苦労があった。
まだまだ書きたいことがいっぱいあるけど、長くなってしまうのでこのくらいで。
とにかく寒すぎるのを除けばほぼパーフェクト!
景色は抜群、静かで雰囲気も良い。
人も優しく素朴さが残っていて素晴らしいし、チベット文化はとても興味深いし、料理も美味しい。
体調を崩して死にかけたけど苦労して行ったかいがありました。
旅も少し慣れてきて怠惰になってきた自分に、改めて旅の面白さと新鮮さ、感動を与えてくれた。
そんな町です。








































































