★とある中学の話です。過去の話を少し脚色してあります。★
今日は、落ち着かない男子の話をしましょう。
C郎は、落ちつきがありません。
じっくり授業に取り組むことは苦手です。
なので、お勉強はとても苦手です。
思いつきで、パパッと動きます。
天井にガムテープを貼って、また取れるかな?
ゴールポストを駆け上がるキャプテン翼みたいに、壁を駆けあがれるかな?
たっぷり水を入れた長靴を放ったら、中の水はどうなるんだろう?
街で配ってたうちわの紙の部分をはがして新しい紙を貼ったら、ジャニーズのコンサートみたいに、自分の応援うちわを作れるんじゃないかな?
こうやって、あれこれ思いついたことには夢中になり、静かに静かに集中します。
静かな時は体調不良か良くないことをしてるとき
ある時、英語で小テストをしました。
私との約束で、小テストでは、数個の英単語は毎回必ず書けるようにする(0点を取らない)ということになっていました。
彼にとってのノルマを果たし、ヒマなテスト時間の残り…。
裏に、草間彌生さんの作品のような点々の作品を仕上げてきました。
「わぁ、すごい!」
うっかり褒めたのが悪かった。
その絵を描きたいために、最低ノルマの単語をささっと覚えて、絵を描くようになってしまいました。
覚える単語のノルマを増やして、それがきちんと書けたら、裏に絵を描いてもよいというルールにしました。
単語をいい加減に書いてしまうこともできたのでしょうけれど、テストでそれなりに点が取れるようになってきて、毎回絵と共に点数も褒められるので、頑張るようになりました。
授業も、わかることが増えてきたので、以前よりは、前向きに取り組むようになりました。
で。
ある日、クラスのみんなと私で、彼に大絶賛の拍手を送ることになりました。
授業中、いつものように、周りにちょっかいをかけるC郎。
周りの子「先生!C郎が、後ろから、ちぎった消しゴム投げてくる!!」
C郎「オレ、やってないもん!!」
床にはたしかにちぎった消しゴムの破片が散らばっています。
私「C郎、ほんとは?あなたは、消しゴムをちぎって投げましたか?嘘つくのは許さないよ。」
C郎
「イエス…I did...」
授業を聞く気すらなくて、
英語なんて口にすることもなかった彼が、
まさかの、英答!!!
しかもdidを使ってるなんて!!
クラスでも、まさかの彼の答えに、大爆笑。
そして、何故か拍手。
私「おぬし、英語の腕を上げたな」
C郎「このごろちゃんと聞いてるもん!」
私「じゃあ、散らかした消しゴムの破片を掃除して」
この翌年も彼の授業担当をしましたが、
パーフェクトではないものの授業もだいぶ聞けるようになり、授業中のイタズラもほとんどしなくなりました。
Yes, I did.という表現を見たり聞いたりするたびに、イタズラっ子でカワイイC郎を思い出します。