断ち切っても断ち切られないのが親子の縁と情。
彼女Sは、三人兄弟、(S, 妹、弟)の長女。
物心つくころから、父親の借金の繰り返し、
母親以外の女 と悩まされてきた。
口の上手い父親。
親戚中からお金を借りまくり、返済をしない。
働き者だったけれど、そんな父親に文句を
言いながらも、結婚生活を、「子供達のため」と
言い聞かせながら、頑張ってきた。
ある時を境に、Sの父親と母親は離婚。
35年の結婚生活終了。
最後の15年はほとんど別居。
父親との音信を断った。
と、言うより、連絡する気持ちが失せてしまった。
Sの妹は、年賀状だけのやりとり、
弟も父親との音信を断ってしまった。
それから、22年の歳月が流れた。
1年前に、母親が寝たきりになってしまった。
人を認知するのも、難しくなってきた、と言う。
Sは、父親の夢をみた。
その夢には 死がかかわっていた、と言う。
ネットで検索したら、父親の会社の住所が
ヒットした。
電話をしてみた。
取次ぎには、父親の再婚相手が応対出た。
その後、Sは父親と話した。
母親と年齢が同じ(75歳)なのに、ピンピンしたいるそうで。
体の悪いところは、無いそうで。
好き勝手に生きてきた人が、元気で働いていて、
苦労して子供達を支えてきた、母親が寝たきり!?
Sは、人生の不公平を感じてしまった。
22年ぶり。
父親は喜んでくれた。電話の向こう側で、
涙汲んでいた様子がわかった。
今までの想いを伝えた。
父親はそれに対して、 「すまなかった」と。
その父親も、ここ一週間くらい、子供達の夢を
見て、不思議な気持ちを抱いてたいた、と言っていた。
「できるならば、孫に会いたい」 (一度も会っていない)
「別れた前の女房を見舞ってやりたい」
(S達の母親が寝たきりになってしまったことも、知らなかった)
そんな父親からの言葉を聞いて、S自身も胸のつかえ、
心の重荷がひとつ、取り外した感じがした、と。
