あの日のことは、いまでもはっきりと覚えています。

 

レモンの当時の通勤経路は2回乗換の一本は地上、2本は地下鉄です。

もちろん朝の通勤で座れることなど万に一つもありません。

 

でも、小学生の頃から電車通勤をしてきた自分にとっては、寿司詰めMaxの

超満員電車は日常の当たり前として身体に刷り込まれて生きていたので、

それを意識的に“つらい”とか思うような感覚はもうすでにありませんでした。

 

(東京に住んでいる以上、朝の通勤は満員が普通ということに、

何の違和感もなく生きていたんです)

 

 

あの日は、前日になぜかお水をがぶ飲み(身体の浄化デトックスにいいと思って。

当時はお水を一日2リットルくらいのむといい!みたいな健康法が流行っていました)

し、お腹がたぽたぽでした。

 

いつものとおり、朝の通勤三本目の電車(地下鉄)に乗りました。

この日は、いつもにも増して、どういうわけか電車内が激込みで、

自分の前、後ろ、右、左、すべてに人がお団子のようにぴったし密接にくっついて、

息もできないくらいぎゅーぎゅーだったのを覚えています。

 

地下鉄って、どんなに心身が健康でも、なんか嫌なものです。

次の駅が来るまでは、真っ暗闇の中を走るんですから、精神的には

早く次の駅についてほしいという気持ちは常にあります。

 

あの日、前日にお水をたくさん飲んだこともあって、ややお腹がきゅるきゅるしていました。

その上、いつもにも増して満員度1000%の電車内。息苦しいし、早く降りたい。

頭の中でぐるぐると早く次の駅につかないかな。と思っていました。

 

が、突然、電車が停車。したんです。

 

えっ!

 

車内アナウンスで、「前の電車が緊急停車したため、この電車も停車します」と。

 

真っ暗闇の地下鉄線路途上で、超満員電車が止まりました。

 

たまに、緊急停車だの、信号だので、電車が一時停車することはあります。

でも、少したてばまた動き出してくれていたので、

この日も、え~っ!、緊急停車って! でも、ま、すぐ発車してくれるでしょう。

目をつぶってがまんがまん。

 

自分にそう言い聞かせました。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・。

・・・・・・・・・・・・・・・・・。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・。

 

なぜか、全然電車が動き出す気配がありません・・・・・・・・・・・・・・。

 

 

はやく、動かないかな・・・・・??

 

 

電車内は息もできないくらいギューギューで、お腹も心配・・・・・・・・・・・・。

 

 

それなのに、全然動かない・・・・・・・・・・・・。

 

 

(え?このまま電車内に閉じ込められたまま?)

 

 

レモンは、この時はじめて、今まで生きてきて一度も感じたことのない言いようのない

恐怖と絶望感というものを知ったのです。

 

 

その瞬間です。

 

ものすごい不安と緊張が全身を乗っ取り、お腹が猛烈に痛くなったんです。

 

今すぐトイレに駆け込まないと大変なことになる!

 

顔面蒼白になり、呼吸がうまく出来なくなり、とにかくお腹を必死で必死で必死で必死で

こらえてはみるものの・・・・

 

あの時の辛さ、生まれ変わっても二度と一度として味わいたくないです。

 

 

あの超満員電車に閉じ込められていたのは時間にしてどれくらいだったのでしょう。

 

10分くらいだったのでしょうか。

 

 

レモンは、この日から、

はじめて自分に向き合う、長い葛藤と苦悩の日々がスタートしました。

 

 

(つづく)