再読本。
爆笑問題の太田光が『いちばん好きな小説』として、各所で取り上げた事で有名な、アメリカの作家カート・ヴォネガットのSF小説。
個人的にはヴォネガットは『ローズウォーターさん、あなたに神のお恵みを』の方がペーソスに溢れてて好きなのだが、この小説も、やはり読書家である太田氏がベストに挙げるだけはある。
『天にいるだれかさんはおまえが気にいってるんだよ』
地球、火星、水星、そしてタイタン。
一人の男が、超常的な存在により、あらゆる星を、何年も何十年もかけて、旅させられる。もしも自分の人生が"ある使命"のために誰かに操られているものだったとしたらー。何とも壮大なお話である。
初めて読んだときは、正直難解で訳が分からなかったが、今回久しぶりに読んでみて、作者の言いたいことが少しだけ分かった気がする。"ある使命"の真実、そのオチなんて、もう良い意味でとんでもない。そしてその後のエピローグは切ないが、何とも温かみのある終わり方であった。
戦争や宗教に対するシニカルさがありながらも(ヴォネガットは戦争経験者である)、上述の台詞に見られるような、人類に対するほんの僅かな希望と、やさしさを忘れないヴォネガットはやっぱり素敵です。

