土曜日の8時が楽しみでしかたなかった。
だって、「8時だよ!全員集合」が始まるから。
親との攻防もあった。タイトルコールの時に、チャンネルを合わせておいて、見始めれば渋々見せてもらえた。
気を抜いて忘れていると、親が別番組を見始めていて、そうするとその週は諦めざるを得なかった。
そんな週は、月曜日の友達との会話についていけないくらい、学校でもドリフの話で持ちきりの頃だった。
荒井注さんが突然ドリフを辞めると言い出して、代わりに「ボーヤ」の志村けんがお試しとして出演し始めた。
最初は、上半身ハダカのブルースリーのような格好で舞台の上手から下手へ走り抜けていくだけの、しょーもない若手だった。
それが、全員集合の中でもメインでない合唱のコーナーで「東村山音頭」でブレークしてからは、カラスの勝手でしょやらヒゲダンスで、メインでないコーナーがどんどん盛り上がり、やがてはメインの前半コントでも加藤茶と並ぶ主役級の活躍となる。
もう、志村けん無くしてはドリフが語れなくなった頃だ。
そんな全員集合も、ひょうきん族に押されてか、終わりを迎える。しかし、「カトちゃんケンちゃんご機嫌テレビ」が始まる。
当時大学生だった自分は、アルバイトでテレビ関連の仕事をしていた。そんなバイトの一つに、カトちゃんケンちゃんのロケのエキストラがあった。
ストーリーとしては、志村けんさん扮する探偵が体調を崩して病院へ。医者から精密検査を受けるように言われて、結果を聞きに行くことに。
病院の廊下で医者の立ち話を聞いてしまう。今日検査結果を聞きに来る患者さんに、癌で余命わずかな事を告げるのが気が重いと聴こえてきて、自分のことだと絶望感に襲われ病院を飛び出してしまう。
ビルの屋上に立ってみたり、踏切に向かったりするが、自分から命を断つ勇気も出ない。
結局、居酒屋で焼け酒を飲むと言うシーンだった。
赤坂にある、実際の居酒屋を貸し切って、エキストラ全員で本当のお酒とつまみを好きに注文して飲んで食べるようにとの指示だった。
カットの合間に志村けんさんに「飲んでる?」って声をかけられた事を今でも鮮明に覚えている。
それが嬉しくて、滅多に自分のエキストラ出演番組は見なかったのに、録画してまでみた記憶がある。
ひょっとしたら、家中をやさがしすれば、そのVHSが出てくるかもしれない。今度の週末に、志村ケンさんを偲びながら探してみたい。