檸檬=大河内レモンの文芸ブログ/ここは散文と俳句がある場所

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あるプロのダンサ-のお父様が息子に言った一言。「一流になれ」。これが響きました。私も一流にならなきゃと思いました。

俳句を詠むのもあと1年と5カ月。一流になるには何をすればよいのか。私なりに計画を立てました。その中の1つの方法として「毎日一句」をやる事にしました。

思い立った時一句詠んだりまとめて何句も詠んだりして来ましたが、それは今まで通りに風任せでやって行こうと思います。それとは別に、毎日1日が終わる時に、その日のわたし的なハイライトを詠むのです。何句も詠まず絶対に一句だけというル-ルを作りました。特に何もなく終わる日も何か引っ張り出して来て必ず詠みます。これを毎日やる事にしました。最終的に540句ぐらい詠むことになるでしょうか。3年ぐらいかけて「千句詠み」をやった事があります。「毎日一句」もかなりしんどいかも知れません。恐らく句材の調達に苦労するだろうと思います。その時は、まあ、なんとかやります。いい修行になると思います。




平成30年小雪に記す

檸檬






12月4日(火)
群雀のごとく師走の童ども

メモ集団は基本騒がしい。



12月5日(水)
北風(きた)より来て北風(きた)へ消えたるナースかな

メモマカロニウエスタン『南から来た用心棒』的な(笑)。



12月6日(木)
小雪や持って行かれし古紙古着

メモこの日は二十四節気の「小雪(しょうせつ)」の最終日。7日に詠めば<大雪(たいせつ)や>になっていた。



12月7日(金)
温め待ちに明日の寒波の話かな

メモコンビニの店員さんから話し掛けられた。おばちゃんは気さくでいい。



12月8日(土)
宿無しに戻る前夜の羽根布団

メモ「書類」という名の悪魔の手紙が届いた。



12月9日(日)
紅葉散る訪問看護に行きし町

メモある町に訪問看護に行った看護師。契約解除されて二回目以降が無くなった。人の縁なんて簡単に切れるものだ。



12月10日(月)
憂さ晴らしに電話占ひして寒夜

メモ嫌な縁を断ち切るのに手こずらされた日だった。くさくさする時は馬鹿な事をしたくなる。電話占いの予約を取ったが、結局ドタキャンした。



12月11日(火)
「アルンハイムの領地」の冬山迷へるわれを阻むなり

メモ今日も愚かな私は電話占いの入り口まで行ってしまった。申し込もうか迷っていたその時、マグリットの描いた山が圧倒的なビジュアルで私の前に立ちはだかった。


mag-aru.jpg

ルネ・マグリット作『アルンハイムの領地』(2015年、国立新美術館にて開かれた「マグリット展」より)



12月12月(水)
初雪やガラケー自刃の日の近し

メモ今日も電話占いの「ヴェルニ」を利用しようとした。単純に遊ぼうと思ってね。でも今日は利用できなかった。ガラケ-の人は鑑定前に鑑定料を支払わないと受け付けないとか、女が戯けた事を言ってた。スマホなら後払いでいいんだって。差別だな。



12月13日(木)
かかりつけ医替はる嬉しさ煤払ひ

メモずっと主治医を替えたかった。タイミングが来た。年末だけど仕方がない。新しいクリニックの予約が取れた。



12月14日(金)
ビルを出れば幽霊都市に冬の月

メモもう1つのかかりつけのクリニックを受診した。複数の人に会ったが人間的なやり取りは皆無だった。あとで職員さんたちが幽霊だったのかもと思った。



12月15日(土)
セーターにひとめ惚れせり瑠璃の色

メモ衣類に一目惚れした。何も考えなくていいんだって分かった。操られるように私はそれをレジへ運んで行った。



12月16日(日)
「崇徳院」を子守唄とし冬座敷

メモ午後2時。遅い昼食のあと私は横になって、テレビから流れて来る月亭八方師匠の落語を目を閉じて聴いていた。演題は「崇徳院(すとくいん)」。いい心地だった。



12月17日(月)
凍星や永遠に来ぬクリニック

メモクリニックは今日も混んでいた。椅子がなくて立っている患者がいた。これじゃ患者がじゃがいもに見えるわなって思った。そんな医者が嫌で最後の受診にして来た。



12月18日(火)
一冬前のカイロみつける寒夜かな

メモガス会社の立入検査の日。3時間寒い部屋で待っていた。それで体が冷えたのか、胃腸を壊した。温めないといけないと思っていた時、思いがけなくも貼るカイロを一枚だけみつけた。



12月19日(水)
真夜に飲む茶の美味しさや年用意

メモ今年も残すところ12日となった。ちゃんと新年を迎えるために毎日バタバタしている。



12月20日(木)
辺境や闇よりバスの冬ともし

メモ老人ホ-ムにいる母の面会に行った。帰りは5時40分のバスに乗る。1時間に1本しかバスが来ない。ここは立派な辺境である。



12月21日(金)
冬ざれや名医探しは不毛なり

メモクリニックの初診に行って来た。つくづく「私はさとい」と思った。私は医者が見せた一瞬のほころびを見逃さなかった。いない名医を探すのはもうやめにした。



12月22日(土)
要介護3の母浸かりたる柚子湯かな

メモ今日は冬至。老人ホ-ムにいる母は柚子風呂に入っただろうか? 母は今年寝たきり状態の「要介護5」になった。去年は普通に歩行ができた「要介護3」だった。預けた施設が悪くて、母の要介護度が急降下してしまった。元気に動き回っていた時の母を詠んだ。



12月23日(日)
世の音の絶えて天皇誕生日

メモ今日はどうしたことかと思うくらい静かな1日だった。



12月24日(月)
想はざる姫との婚儀冬満月

メモ今夜はNHKのドラマ『アシガ-ルSP~超時空ラブコメ再び~』を観た。ドラマの中の胸がざわついたシ-ンにアレンジを加えて俳句にした。ドラマに満月が出ていたけれど、冬満月ではないと思う。時は戦国時代。エアコンが無い時代だ。板の間で行われた婚儀の席の人達は厚着をしていなかった。



12月25日(火)
ベビーコット温め待つやクリスマス

メモニュ-ス番組で今日生まれた赤ちゃんを見た。クリスマス生まれの子だ。産科で働いていた時の事をあれこれ思い出して詠んだ。



12月26日(水)
開く度に老母閉めけり白襖

メモ家事の為に母の部屋を行ったり来たりしていた私は、襖を開けっぱなしにしているのが常だった。私には居間の隣の部屋の寒さが分からなかった。



12月27日(木)
売切れの下着売場や年の暮

メモ欲しい下着が手に入らなかった。老母の下着なのだが……。茫然とした。



12月28日(金)
年の瀬を痛む脚にて歩きけり

メモ外出中に右膝を傷めた。地下での階段の上り下りがきつかった。無条件にエレベ-タ-を使わせて頂いた。



12月29日(土)
月氷る大事なメール行ったきり

メモ弟へ老人ホ-ムにいる母からの伝言を書いてメールした。返信が無い。いつもの事だ。うちの弟は「報連相(ほうれんそう)」ができない。約束も破る。母の気持ちが伝わったのかすら分からない。弟にとって母はなんなんだろう。もう母を捨ててるのかとふと思う。



12月30日(日)
似非天使ペルソナ脱げば星冴ゆる

メモ看護学校でナイチンゲ-ルのようになれと教育された。私は患者さんの為に全力を尽くして来た。就労時間以外も看護師をしていた私。看護師の時の私が、素の私には他人のように見えていた。気負い過ぎの私になるのはもうやめにすると決めた。だから今日、自分の顔からペルソナを剥ぎ取って捨てた。



12月31日(月)
ハンドクリーム残り僅かやおほつごもり

メモ資生堂のハンドクリ-ム「薬用モアディ-プ」。かなり前に買ったものだ。あんなにたっぷりあったのに、気がつけば残り僅か。年越しの買い物でハンドクリ-ムだけ買い忘れて来た。





【ここより平成31年の作品】

1月1日(火)
初泣やひっくり返せし菓子の皿

メモ和菓子をテ-ブルから床へ落としてしまった。埃の上に落ちたので、和菓子を捨てた。正月用に買った和菓子六個のうち四個は食べたので、良かったじゃないかと自分に言い聞かせた。でも悲しかった。



1月2日(水)
救急安心センターのナースと話す初電話

メモおさまりかけていた右膝の痛みが、今日になって急に増して来た。歩けなくなったら救急車を呼ぶハメになると思い、急激に不安になった。救急安心センタ-に電話した。看護師さんから「直ぐに整形外科を受診して下さい」と言われ、病院を紹介して頂いた。これが私の今年の初電話になった。



1月3日(木)
冬木道主治医異動に泣きじゃくる

メモ総合病院の救急外来を受診した。帰りに次回の予約券がくっついた領収書を貰った。4月に婦人科受診の予約を取っていた。担当医が変わってた。変わるなんて聞いてなかった。この病院は先生がよく変わる。変わり過ぎだ。泣きながら帰り道を歩いた。



1月4日(金)
三が日済むまで置きし自治会費

メモ「自治会費を5日までに払ってくれ」と書かれた紙がポストに入っていた。毎月私は3日に支払いに行くのだけど、正月の3日目に会費を持ってよそのお宅をお訪ねするのは甚だ非常識に思えて、今月だけは4日に持って行こうと思っていた。三が日に、どうしても自治会費を持って行けない私は変なのだろうか? 常識的には三が日に持って行っても構わないのだろうか? 催促の紙切れが深刻な督促状みたいで嫌だった。



1月5日(土)
「小寒です」とテレビ嘘言ふ五日かな

メモ今日一番驚いたことを詠んだ。ニュ-ス番組で「今日は小寒です」と言っていた。今年の小寒は6日のはずだが?と思ったが、まさかテレビ局が嘘を全国に流すわけがないと思い自分の認識を訂正した。すると番組の最後でお詫びと訂正があった。「失礼しました、明日が小寒です」と……。二十四節気を間違えるなんて、おいおいと思った。



1月6日(日)
方々へ散りし家族や寒の星

メモ家族というものは大事なものらしい。今世を生きる為のフランチャイズ的なもの。他人を信じるのにはリスクが伴うが、家族は安心して信じることができる(例外もあるが)。血の絆は凄い。前世占いによると、前世の私は家族の愛に恵まれなかったようだ。で、今世“家庭の星”蟹座に生まれて来たのであるが、今や私の家族は散り散りばらばらである。物理的な距離の隔たりは仕方がないが、団結力が無くなってしまったのが致命的だ。今世も私は失敗してしまったようだ。



1月7日(月)
病褥を上げて干したし冬日向

メモ明るい日差しがお布団を干せと誘う。病人なので寝床が上げられない。折角の日光を有効に使えないのが歯痒かった。



1月8日(火)
スラックス下やっと手に入る寒の内

メモ老母のスラックス下を去年の年の暮に買いに行ったが、品切れだった。年が明けてかなり経っている今日こそはあるだろうと行ってみたが、無かった。欲しいLサイズだけがやっぱり無い。スラックス下の為に足を運ぶのは三回目だったので、店員に品物がいつ入るか聞いてみた。すると在庫品を出して来て下さった。私はやっと母のスラックス下を手に入れる事ができた。小寒三日目の事だった。



1月9日(水)
亡き猫の訪ねて来たり寒見舞

メモ弟の愛猫が亡くなったのが一年前の今日だった。



1月10日(木)
初夢や好好爺の手に一億円

メモ年の始めの話になるがこのような初夢を見た。私の初夢はだいたい予知夢である。今年は何が起こるのか。答え合わせが楽しみだ。



1月11日(金)
薬局やちょこんと座るマスクの子

メモマスクをかけた可愛らしい少女が、薬局のソファ-に腰掛けていた。風邪を引いたのかなと思った。全然しんどそうではなかったので、もしかして予防のマスクをかけていただけなのかも知れない。風邪も冬の風物詩だなと、不謹慎にも思ってしまった。



1月12日(土)
実南天燃ゆ死神ですら吹き消せず

メモテレビで立川志らくさんの落語「死神」を聴いた。ドラマ『昭和元禄落語心中』の中で何度も聴いたあの「死神」だ。7分間の短縮版だったが、素晴らしかった。その話に「実南天」を合わせてみた。



1月13日(日)
寒卵五つ食せし老母かな

メモ母が認知症を発症してからの話である。母は明け方に卵を六個茹でて一個私にくれ、一個自分が食べた。二度寝して朝起きてみると、残っているはずの四個の茹で卵が消えていた。母に聞いてみると食べたことを認めた。時は寒中。そんなに精をつけてどうするねんと思った。



1月14日(月)
寮に入り巣立ち果たせり成人日

メモ若干のアレンジがあるが事実である。親から離れる為に、入寮という手段に出た私だった。



1月15日(火)
迷ひ込める林に九輪冬の梅

メモ早梅を見つけた。普通に詠まずに、ある民話の場面を取り入れて仕上げてみた。実際早梅を見てどうだったかと言えば、春の気配を感じて焦った。春になると私はとても困る。まだ寒中だと自分に言い聞かせた。




詠み手/檸檬









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