こんにちは。中学校教員レモラズです。



この1週間、お勉強が全くできないカズキくんの調子がおかしいのです。



なんか、急に、勉強のスイッチが入りました。



英語は、単語が読めません。

playは見ないと書けません。



今、ウォーミングアップで、ペアで、リストにある単語を言い合う活動をしてるのですが、

今まで、

日本語でなんとなく知ってる単語しか会えませんでした。

(例えば、夢→どりーむ!!!とか…)

授業中も、ちんぷんかんぷんなので、

お絵描きをしたり、消しゴムで遊んでたり、

集中力がもちません。




彼は、とあるスポーツをしていて、

そこそこの成績を残している子なので、

「将来、キミが海外でプレーするようになったら、英語が必要になるかもよ。インタビューとかされたら、どうするのよ!海外のファンに声をかけられたら、返事してあげたいじゃない?」

とかなんとか声をかけて

やっとプリントに書き込ませているような状態でした。





中学英語は、単語がどんどん入ってきますので、

彼が

「サッカーをする…えーと、プレーサッカー!!…英語で書くの?無理ー!!」

と繰り返しているうちに、




新出単語には、

translate

should 

progress

foreign languages

build relationship



と、たくさんの長い言葉が並ぶようになっていました。



今まで、無理ー!!!と言っていたカズキくん、

ある日、ペア活動で、周りの人がどんどん言えるようになっていることに気がつきました。



「なんで?なんでみんな言えるの?」



慣れ、学習の素地、色々と理由はあると思うんですが…



「じゃ、リストにある10番まで、読めるようになってみる?」


「うん、英語読めるようになりたい」




私はもちろん、クラスの誰もが、

「その場のノリで言ったな…」

「先生の勢いに乗せられたな…」

と思った発言でした。



ところが。



彼は、小学校で習った「ローマ字」を思い出して、

「とらんすれいと?toransuじゃないの?なんで、lateはラテじゃないの?」



わかりたくて、

読み方をいっぱい質問します。



授業に参加したくて、発言をしますが、

なにせ分かってないので、

トンチンカンな答えが出てきます。

でも、それは、彼なりの考えの道筋から出てきた答えです。




たしかに授業進行の妨げにはなるっちゃなるし、

賢い子たちから見たら、イライラしたかも。

(でも、その子達には、助けてあげてほしいんだよね…)




バカにして笑う子もいましたが(この子達も英語できないのに!)、

「絶対バカにしちゃだめ。ふざけるのは許さないけど、今、みんなと同じようになりたいと頑張ろうとしてる人に笑うのは、失礼なことだよ!」とおさえます。



もちろん、

授業の内容は「不定詞」であり、「AIと将来の自分たちの仕事」ですので、

彼の相手ばかりできません。




最初は、

「だーかーらー!!!1年の最初に、先生がその説明をしてたじゃん!!何言ってんの、今頃!」

と言う仲良し男子もいましたが、



「まぁまぁ、その時、カズキはまだ勉強するための準備ができてなかったんだよ。今、みんなと同じように、わかりたい、できるようになりたいって思うようになったんだから、そんな言い方はしないで。みんなだって、分からないことが、後から分かりたくなること、あるでしょ?

カズキも、休み時間に教えてあげるから、カズキの質問はちょっと待っててね。今の授業をしていくから、わかりそうなところのお話は聞いておいてね。」




そんなふうにして、授業を進めていきました。





休み時間。


教室で読めない教科書を読もうとするカズキ。

「あい…ゆーず…こんぴゅーたーず……なんでuseなのに、ゆーずってよむんだ?」



サイレントeの説明をしたいけど、それは難しい。

「え、なんで?読まないのに、eが書いてあるの?エ、って読まないの?」




「博士って『はく』と『し』って書くけど、『はかせ』って読むよね。

『そうか、そう読むのか…』って納得しなきゃいけないときもあるんだよ。

eを読まない単語もあるって、覚えられる?」


「うん。」



chocolate

later

Late

communicate



「なんでcはシーなのに、ケイトとかって読むの?aもアって読むんじゃないの?」





あまりに必死なカズキを見て、

「すげーな、なんか、カズキ、なんか、がんばってる…」



カズキの周りに人だかりができ、

私が説明しなくても、

こう読むんだ、ああ読むんだ、と、

ちっちゃい先生たちができました。




自分たちで説明しきれないところがあると、

私が呼ばれます。





勉強がすごく苦手で、運とノリで教師になった(と言ってる)先生に、その話をしたら、


「え、カズキ、どうしちゃったの?そんな、カズキらしくない。あいつに勉強させるのは無理ですよ。ま、一時的なものでしょ。」



と言っていたのですが、



たまたま、英語のあとの休み時間の真剣に教科書とにらめっこする様子を見ていて、

「カズキが変だ!あんなに勉強するなんて!」


と驚いていました。



「先生、オレ、英語、読みたい。言えるようになりたい。」



前述の先生が言う通り、

長く続かない可能性も十分あるけど、

その時はその時。

知りたい!わかりたい!っていう気持ちを大事に育てたいと思います。